第5回日本自治創造学会 研究大会「政権交代と地方自治の行方」に参加してきました。全国の自治体議員が400名以上が御茶ノ水の明治大学アカデミーコモンホールに参集。仙台市議会からは私と菊地崇良議員が参加。以下にその内容を私のメモから紹介し、報告します。
会長講演「地方議会改革のこれから」中邨章 日本自治創造学会会長
インターネット選挙解放のインパクト大きい
地方議会改革には取り組めども、その方向性はどうか?
変わる議会の取り組みとして代表的事例は☆基本条例の制度化☆議会報告会の開催☆反問権の導入☆議事録の公開☆議員間討議がある。けれども議会内のそれに留まり、住民、有権者と一緒に改革する例は少ない現状。
大選挙区制の選挙制度に問題あり。議会と行政部(首長)の関係は本当に二元制か。首長側に絶対権限あり。
3無い議会の立場 【予算執行権、議会側の議会事務局ではない、365日に公務政務後援会私用の線引き難しく時間が無い】
議員は専門分野の確立が必要。全国3万5000議員の中で改革に積極的な議員は1割程度。陳情、請願制度重視の姿勢からの脱却。
インターネット選挙解禁は誹謗中傷の嵐の中に。国内のみならず海外からの目にも晒される。コンピュータを駆使出来ない議員は淘汰される。
講演「政権交代と自治の行方」神野直彦 地方分権改革有識者会議座長・東大名誉教授
一括交付金化と税財源の移譲を目指した民主党政権「原口プラン」と異なる現政権は、特定補助金の一般財源化を目指している。
国の地方財政審議会の経過、分権改革推進会議の経過を説諭。
地方分権の推進に関する決議H5年6月より20年経過して今日まで。
財政学者の立場からドイツの財政学者の財政調整理論を解説。垂直的、水平的調整、行政任務、課税権の配分。補完性の原則。
日本の地方自治では行政任務と財源の非対応あり。事務権限の移譲と自主財源の確保のあり方。
提言「これまでの地方分権の取り組みと今後の課題」青木信之 内閣府地方分権改革推進室次長
平成5年第一次分権改革始まり、機関委任事務の廃止、三位一体改革の本旨として税財政改革の道筋できた、そして地方分権改革推進委員会の経緯、権限移譲、出先機関改革、地方税財源と進めた途上で政権再交代。
国から地方への着実な権限の移譲を進めるとした第二次安部内閣。
国の基準と異なる地方独自の基準例として、公営住宅の入居基準、道路の構造に関する基準(交差点幅、歩道の幅員、勾配等)、保育所の設備運営に関する基準。
民主党政権下での、出先機関の原則廃止に向けた取組み経過。
ハローワーク特区(埼玉県)の事例紹介。
原点は、国と地方は対立構造にあらず。4POINTは 1.住民の想いを大切にする 2.基礎自治体の考え方を汲み取る 3.地域の元気をつくる 4.広域の連携を促進する。
提言「考えよう国と地方の仕組み」穂坂邦夫 NPO法人地方自立政策研究所理事長 前志木市長
穂坂氏が埼玉県職員、足立町職員、志木市議会議員4期、埼玉県議会議長、前志木市長を経験しながら終生取り組んでいる「地方から国を変える」関係のあり方(仕組み)の是正について説諭。国に考えてもらう前に、地方自らが地方の利益のために分権改革の促進に取り組もうとの趣旨。
パネルディスカッション「新政権と高齢者医療・介護制度改革の行方」
パネリストー江利川元厚労省事務次官、澤井奈良女子大名誉教授、森田中央社会保険医療協議会長 コーディネート佐々木信夫中央大教授
医療介護の現状についてパネラーから
国の財政では、税収は微増の中で社会保障関係費は倍増。高齢者人口が倍増のインパクト。この20年で社会保障給付費は47兆円から109兆円に2倍。高齢者人口は1490万人から3079万人に2倍。しかしこの間、GDPは443兆円から468兆円程度。そして50年後、国民人口は4200万人減り生産年齢人口も半減の一方で高齢化率は40%に増える。
2012年度予算では、社会保障給付費109.5兆円の49%は年金、32%が医療、そして介護保険は8.4兆円の7.7%となっている。
社会保障給付費改革の根本は医療費改革であるが、世界最高水準の日本の医療の質の高さと量をどうすべきかの国民的議論が必要。
首都圏のこれからの大課題は急増により深刻化する高齢化対策である。
地域包括ケアの構築には地域包括支援センターを市町村が鍛え直すことと、澤井氏の弁??
少子化、人口減少社会を阻止することが前提となり日本の社会保障制度は存続できるかどうかが決まる。また存続の鍵は、日本の国際化グローバル化も前提となる。
我が国の死生観と欧州の高福祉国の死生観と高齢者介護の異なり。
寿命の考え方は健康で暮らす時間の長さと考えるかどうか。
公助の限界を知り「互助」の精神が浸透できるか。行政サービスに依存し過ぎて本来もっている自助互助の精神が萎えてしまっていないだろうか。
以上1日目。18時30分終了
会場には約400人の自治体議員。