認知症の人と家族への援助を進める第26回全国研究大会inみやぎ
公益社団法人 認知症の人と家族の会主催 以下に私のメモにて内容をご紹介します。 奥山市長来賓挨拶
基調講演・せんだんホスピタル 浅野弘毅院長 「認知症の人を理解する」
認知症とは、一度獲得された知識が後天的な器質的な障害によって持続的に低下した状態をいう。物忘れをする病気。
加齢に記憶障害なのか、認知症なのかの見極め
新しい記憶の障害あるが、古い記憶は保たれている状態から、時間/場所/人物(見当識障害)へ、そして判断力の低下も進む
中核症状と行動・心理症状、妄想(盗まれる、見捨てられる、嫉妬)/誤認(幻の同居人、替え玉妄想、テレビの映像と現実さの誤認)/食行動/暴力/抑うつ/介護抵抗/感情失禁/
アルツハイマー型か脳血管性型かの症状の異なりを紹介
アルツハイマー型の危険因子では、女性が多く、家族歴(うつ、パーキンソン、ダウン症など)
認知症のケアの基本は、症状と人への理解、介護する側の意識の転換、孤立しない介護者の連携など。
認知症の人の心理、忘れ方の法則/自分が壊れる恐怖/居心地の悪さ/孤独の恐怖と家族全体の理解。
認知症の人との接し方は、正対して視野に入って話す、わかりやすい言葉で話す、昔話を聞く、症状の現実を受け入れて接すること。
介護の負担を減らすには、先ず家族・友人・隣人の支援。サポートグループの大切さ。休息がとれる環境と経済的ゆとり。
認知症(ボケ症状)が世間で騒がれすぎている「認知症もどき」の増加。
生活習慣病のひとつとも捉えられている「認知症」30代頃からの生活習慣のあり方に発症要因ありと。
対人的接触、触れ合いコミュニケーションによる心の刺激が大切。
家族は、罪悪感を持たない、燃え尽きの防止を促す。
認知症という深刻な話題に対して、その基調講演は、ウィットに富み、硬軟織り交ぜて聴きやすく分かりやすい講演内容と進め方であったが、それは浅野先生が認知症専門医の第一任者であることを示していた。
慈泉会相沢病院 (長野県松本市)院内デイサービス科長 山崎明子氏より
ベット数500症、24時間救急受け入れ救命センターあり。職員総数1632名、月465回の救急搬送、ヘリコプター搬送も季節によっては15回あり
介護保険適用外のデイサービスセンター。家族の安らぎも提供するデイサービスに。患者様のためその家族のために努力を惜しまない病院運営を目指している。生活環境/生活習慣の継続性を確保するデイサービス。
二例目
認知症地域ケア協議会の取り組み 土井内科医院(京都市西京区) 土井たかし副院長
開発後30年以上が経過したニュータウン地区。
完治がのぞめない認知症に家族と地域の気づきが出発点。医師会が中心になって認知症ケア会議を設立した。
協議会の参加団体は、区役所、警察、消防署、社協、校長会、家族の会、老人クラブ、ケアマネ、医師会、薬剤師会など20団体。
「もの忘れチェックリスト」を作成し利用共有。「もの忘れ相談医」の紹介。病診連携を構築。
認知症を支援と判定せず、介護に認定する審査基準も必要である。
三例目
下関市認知症を支える会(山口県下関市) 篠原博之代表
「24時間いつでも電話相談」の実践から
介護相談を受けている内に24時間介護相談できる窓口が必要と痛感し自分の携帯番号を公表し、電話相談を始めた。
当事者のみならず介護者の悩み相談例、理解者がいない、先への不安、不眠、近所の目、など相談の中から、介護家族同士の連携が必要と、平成16年に「家族の会」を設立した。
介護現場(管理者、従事者)からの相談も増えてきてその要因は現場で抱える多くのストレス。介護職員へのケアも課題。
夫婦同士の生活でありながらの緊急対応窓口も必要に。即応性がますます求められている相談窓口。
四例目
特養ホーム とかみ共生苑 高橋美佳(山形県)
「要介護認定の問題点」
最後まで自分らしく生きるための介護保険の利用環境が整っていないことを日々目の当たりにしている。
同居している嫁の苦悩と心の病み 鬱に陥いる介護者のケアが必要。 チームケアの実現に、相互の関係性が大切。
ご利用者の個々の状況に対するケースケアは百人百様である。認定に縛られる介護保険制度の問題あり。支給限度額による利用抑制があるのでないか。
五例目
若年性認知症の集い「翼」(宮城県)会員 木村克夫氏
自らも認知症の発症者であることを語る67歳。現役時代は製薬メーカーの企業戦士だった。
現役時代、猛烈勤務の中で、パソコン入力で同じ文字を繰り返し打つようになり、診察をうけ認知症の診断を受けた。
仕事の忙しさで頭の中がパンクしたのでないか。自分は優秀な営業マンだと自意識があった。治らないことを自覚することが苦しかった。自分の人生観が定まっていない不安。しかし、やはり女房と子供のことが心配。デイサービスを利用しているが、利用者同士の会話がない寂しさ。決められたカリキュラムはつまらない。自分の哲学を持ち明確な方向性をもって生きてきた過去の自分。
認知症の有無にかかわらず、当たり前に家庭で地域で暮らし続けられる日が来ることを願っていると結ぶ。
この後、シンポジウムも行われた一日。全国研究大会には、900名以上が参加し、各市内関連団体も運営スタッフなどを協力して無事開催されました。
「家族の会」関東澄子会長様はじめ皆様大変お疲れ様でした。この日を新たに「認知症」を、家族/地域社会/行政/お互いに皆で理解して支えていくスタートの日にしていきましょう。