《ハンノキの今の季節の姿》
《ハンノキの花は、雌雄同株、雌雄異花で、若葉が出る前(2~3月)に咲きます。長いのが雄花、丸いのが雌花》
はんの木のそれでも花のつもりかな 一茶 (なるほど)
我が散歩道には、たくさんのハンノキがあるので、歩くたびに下記の句を思いだして、
気になって仕方がなかったので、自己流解釈を試みます。
巣箱まだ生きてゐるなり倒れ榛 中戸川朝人 『巨樹巡礼・2013年』所収
【榛】は「はり」と読んで、「ハンノキ」の古名ということになる。
「はしばみ」と読めば「ハシバミ」 ということになる。
5・7・5の「5」に字余りなくおさめるには「はり」が選択されるだろう。
だから「タオレハン」という読み方はあり得ない。
「タオレハリ」と読むのではないだろうか?
ハンノキは、幹は真っすぐに伸びてゆくし、根はしっかりとしていて水辺や畦に立っていることができる。
水田の畔に、稲のはざ掛け用に植えられることもあるし、川岸に護岸用に植えられることもある。
荒廃地や山の復旧対策のために植えられることもある。つまり根が強靭だということ。
その木が倒れるということは余程の状況があったはず。
だから「巣箱まだ生きてゐるなり」ということが格別のことになるのではないか?
湖北では、ハンノキを畔に植える風景が少なくなったという。
農業の機械化が村の風景を変えてゆくのだろう。
かつては、稲のはざ掛け用に、あるいは昼食の時間には、その木陰に人々が集うこともあったようだ。
消えたハンノキの里・湖北の原風景
さらにハンノキの豊かな話は尽きない。
ケルトの守護樹にもハンノキは「4月の樹」としてえらばれている。
ケルトの守護樹