塵埃落定の旅  四川省チベット族の街を訪ねて

小説『塵埃落定』の舞台、四川省アバを旅する

大地の梯子

2007-09-30 18:50:33 | Weblog
廃墟の一つに、はしごがかけられていた。チベット梯子(チャケェ)と呼ばれているらしい。丸太に切込みを入れただけのもので、少し登ってみたけれど、安定が悪く途中であきらめたのだが。よく見ると、切込みの一つ一つが三角形になっていて、山が連なっているように見えなくもない。阿来の『大地の階段』の“階段”とは、このチャケェのことかもしれない。(そうすると階段とするのは誤りで、梯子としなければならない、これからは『大地の梯子』と改めます)

彼はためらいがちな微笑を浮かべた。
「私には、この折り重なる山々が一段一段昇っていくはしごのように見えるのです。私の魂
は、いつかこのはしごを伝わって天上へ昇っていくのでしょう…
…この題名から、私自身が旅から得た真摯な思いが伝わるようにと願っている」

これが『大地の梯子』の書き出しである。小さな寺の若いラマがふと漏らした言葉に、阿来は詩意をかきたてられ、この本の題名にした。

アバにいると、どこにいても山々が連なって、どこか遠くへ連れて行かれそうになる。ここ大蔵寺ももちろん目の前は山の連なり。天気が良いので、よけいに空に近づいてしまったような気がする。

(写真に右下にあるのがはしご 朽ちかかっているけれど)


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