塵埃落定の旅  四川省チベット族の街を訪ねて

小説『塵埃落定』の舞台、四川省アバを旅する

大蔵寺のひかり

2007-10-02 02:21:41 | Weblog
山の頂上は草原で、大きなテントも張られている。チベット族の女性が数人、青空を背景に歌いながら尾根伝いに歩いていく。これが彼女たちの日常なのだろう。お参りの人たちは、ほとんどが親族からなる一団で、にぎやかにおしゃべりしながら一つ一つお堂を回っている。私たちが日本人だとわかると「アリガトウ!」と何度も何度も挨拶し、明るく笑う。

ここで働いている若者がそれとなく後をつけてきて、話しかけられるのを待っている。
ニーハオ!ここに住んでるの?
そうだよ。どこから来た?
日本から。日本て知ってる?
知ってる。テレビで見た…

のんびりと歩いていたら、いつの間にかかなり上まで登っていた。木陰で一休みする。でも、気をつけないといけない。あちこちに牛のフンが落ちている。
門を入った時はとても行けそうもないと思ったお堂を、今は見下ろしている。

海抜3,800m。小さな起伏を利用して、たくさんのお堂が建てられているのがわかる。ひとつの僧房の前の植え込みに僧衣が干されている。日を浴びて鮮やかな色が一層際立つ。

山中に澄み切った光が満ち溢れている。


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