eつれづれ管理者(66kV特高変電所、技術者)

電気の出来事を技術者向けに適宜up中。
質問等はコメント欄にて。

川内原発仮処分はNG

2015年04月24日 | eつれづれ
鹿児島地方裁判所は22日、九州電力川内原子力発電所1、2号機の稼働差し止め仮処分を求める住民の申し立てを却下した。16日に福井地裁が関西電力高浜原発3、4号機に対して下した決定とは真逆の結果となった。これで川内原発は、1号機から今夏中に再稼働する可能性が高まった。
鹿児島地裁の決定文によると、原子力規制委員会が安全性審査の基準として策定した新規制基準について、「最新の調査・研究を踏まえ、専門的知見を有する原子力規制委員会が相当期間・多数回にわたる審議を行うなどして定められたものであり、最新の科学的知見等に照らし、その内容に不合理な点は認められない」とされた。新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性を欠く」とした福井地裁の判断とは大きく食い違うものだ。
□福井地裁の決定と真逆の判断に
鹿児島地裁は川内原発の地震対策に関し、「将来の自然現象の予測に伴う『不確かさ』を相当程度考慮して基準地震動(想定する最大の地震の揺れ)を定め」、川内原発の耐震設計を行っているとして、規制委の判断に「不合理な点は認められない」と判定した。この点、福井地裁は、基準地震動は揺れの最大値ではなく「平均像」であり、「実績のみならず理論面でも信頼性を失っている」と判断していた。
また、焦点の一つとされていた火山審査について鹿児島地裁は、「その評価は火山学の知見により一定程度裏付けられているといえるから、原子力規制委員会が示した新規制基準への適合性判断に不合理な点は認められない」とした。
さらに、地方公共団体が策定した避難計画を含む緊急時対応についても、住民側は不備を指摘していたが、鹿児島地裁は「現時点において一応の合理性、実効性を備えているものと認められる」と判断した。
そして鹿児島地裁は、住民らの「人格権が侵害され又はそのおそれがあると認めることはできないから、本件仮処分命令の申し立てには理由がない」と結論づけた。
この決定に対して九州電力は、「今回の決定は川内原子力発電所の安全性は確保されているとの当社のこれまでの主張が裁判所に認められたものであり、妥当な決定をいただいたものと考えております」とのコメントを発表した。
また、原子力規制委員会の田中俊一委員長は22日の定例会見で、「(新規制基準や原発の審査を)評価していただいたことは非常に歓迎すべきことだ」と発言。福井地裁と対照的な決定になったことについては、「裁判官は基本的に独立だから、そういうこともある。なぜそういう違いになったのかは分からない」と語った。
■ 住民側は地裁決定が「事実誤認」と反発
一方、住民原告団と弁護団は、「人権の砦として国民の人格権を守るという裁判所の責務を放棄するものであり、三権の一でありながら、行政による人権侵害を抑止できない裁判官の臆病な態度を強く非難する」との声明を発表した。
住民側が特に厳しく非難しているのが火山審査について。九電は、カルデラ火山の地下浅部には大規模なマグマ溜まりがないことなどから、南九州地方で「破局噴火が起こる可能性は十分に小さい」としている。だが住民側は、これは「火山学会が総出で批判したほど科学的に根拠のないもの」と主張。「マグマ溜まりの状況を的確に調査する手法は確立されておらず、決定は事実誤認である」と指摘している。
また、避難計画についても、要支援者の避難計画は立てられておらず、鹿児島県知事自身が10㌔㍍以遠の地域では実効性のある避難計画を定めることは不可能と認めているにもかかわらず地裁が問題なしとしたことに対し、住民側は「住民の生命身体の安全という、人格権の根幹部分を軽視した極めて不当な判断」と非難している。
過去の原発稼働差し止め裁判においては、昨年5月の大飯原発に関する福井地裁判決で差し止めが認められ(関電が控訴)、同11月の大飯・高浜原発に関する大津地裁仮処分では却下されたものの、実質的には新規制基準の不適切さを指摘するものだった。そして、今月14日の高浜原発に関する福井地裁決定で、ただちに効力を持つ差し止め仮処分命令が初めて出された。これらと比べ、今回の鹿児島地裁判決は電力会社側の完全勝訴とも言えるもので、それだけに住民側の落胆や憤慨も大きいと見られる。ただ、住民側は今回の地裁決定に対して高裁へ即時抗告を行う姿勢。原発再稼働を巡る住民と電力会社の闘いは全国的に長期化が必至だ。

所詮、高度な国の政治判断が絡む...素人の裁判官などの結論は何の役にも立たない事か。4月から左遷なのか単なる移動なのか...。これで被った再稼働遅れの損害は勝訴すれば数十億円単位で原告が払うのかバカバカしい、無い物は無しでスッカラカンとなる。