黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

退屈なので 龍①

2020年11月03日 16時19分18秒 | ファンタジー
① 退屈なので、四十数年前に書いた龍に関する論文を読み直すうちに、電子データに保存しようと思い立ちワード入力し始めたのだが、甲骨金文の入力はまったく不可。解説文の漢字でさえ、たとえば贏、疇、羌などの稀少漢字は、IMEパッドの手書き検索機能を使ってようやく拾えるといったありさま。原稿用紙で30数枚を仕上げるのに約1か月を要した。
 その内容とは、誰ひとり実物を見たことがない龍という動物のイメージが、なぜ人の観念の中に存在するのか、殷代の人々はいったいどんな観念に基づいて龍字を作ったのか、さらに龍字に限らず、甲骨金文の動物文字とははたして現存する生き物を表したものなのか。こんな論点を掲げ、その実態を解明しようとしたのだから、当時の私はよほど無鉄砲だったとつくづく思う。
 そうこうするうち、アニメ鬼滅の刃でも龍がずいぶん評判なのを耳にしたので、4年前のこのブログ(最近の龍)でエッセイ風にまとめたものの一部を再度紹介する。

 殷代が起源と考えられる甲骨・金文は、発掘された文字だけでおよそ千八百字あるという。現行の常用漢字が二千字少々であることを思うと、始原のころからかなりの種類の漢字が使用されていたことになる。いうまでもなく、漢字の基本構造は象形であり、一字ずつ意味を有する表意文字である。たとえば、牛や羊字は特徴的な角によって表され、鳥や馬字は実物をデフォルメした姿に見える。鹿字も、大きな角を振り上げて跳びまわる鹿の象形に見える。ところが、鹿に似た慶字の場合、まだれへんの真ん中に心臓の形が描かれている。つまり慶字とは心臓を取り出された動物の象形なのだ。文字の意味は、神判(吉凶の占い)のときに用いる動物を表すとされる。占いの結果が吉の場合を慶といい、めでたいという意味になる。つづく (2020.11.3)


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