黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

媚びる人 すれ違う人

2011年11月22日 15時48分16秒 | ファンタジー

 横暴上司には媚びろ!それって素敵やん?というキャッチコピーがインターネットの記事に載っていた。私は部下にも上司にもなった経験があるが、文句を言う上司や部下は、どんなに物わかりのいい人からも、確かに嫌われる。組織にとって、媚びへつらわない人とは、和をかき乱すだけのほんとに邪魔なヤツなのだ。そういう意味で、媚びるタイプの人がいなければ、組織の当座の平和を保つのはむずかしい。
 しかし、媚びる人が素敵かどうか、私にはよくわからない。確かに、媚びる人は周囲にあまり害を及ぼさないという点で、どっちつかずのいい人だろうとは思うが、組織にとって役に立つかどうかはきわめて怪しい。事実、そういう人ばかりだと組織はいずれ潰れてしまう。
 年を取りすぎたために、今では自分がどちらのタイプに属していようと、誰からも文句を言われなくなり、そのかわり賞賛されることもなくなった。そんな境遇になってみると、あのときもう少しゴマをすっておけばよかったとか、はっきりものを申していた方が昇進したかもしれないなどと、思い当たることが色々出てくるものだ。横暴な上司に媚びるのも、たて突くのも、現役の場合、どちらも素敵だというのが結論なのか。私個人としては、上司の禿頭を叩いたときの快感の方がずっと鮮明に記憶に残っているが。
 話はまったくかわる。この二年ほど、通勤途中の駅構内の連絡通路で、ほとんど毎朝すれ違う、私より若干年上に見える男性がいる。お互いに見るともなしに、相手の顔に視線を走らせるようなすれ違い方なのだが、二日続けて顔を見なかったらどうしてしまったんだろうと心配になる。もちろん名前も身分も職業も年収もなにもかもぜんぜんわからない。
 しかれども、気になるのだ。ひょっとすると幼い頃近所にいた遊び仲間なのか、幼稚園か小学校の同級生なのか、それとも前世からの深い因縁があるのか、と想像してみるのだが、そんな根拠はなにも見当たらない。そもそも相手に声をかけようとか、いっしょに酒を酌み交わそうとか、様々詮索しようとか、そんなことはどうでもいいのであり、顔を見るだけで安心するという、そういう人がいるのは幸せなことだと最近思うようになった。(2011.11.22了)
コメント
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