黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

イケネコはな

2011年11月18日 14時27分37秒 | ファンタジー
 我が家の愛猫はなの姿形は、同居人が言うのもなんだが、フォトチャンネルの写真写りのとおり、なかなかのイケネコだ。イケネコとは、イケメンをもじった私の造語。イケメンは人間の男性に対して使う言葉なので、メスのネコをイケネコと呼ぶのは適切でないかもしれないが、そもそも造語は先に作った者勝ちなのだから、勝手に表現させていただいてもかまわないだろう。
 以前、ネコの顔の表情について書いたものを読んだことがある。それによると、ネコの表情が冷たく見えるのは、独立心が旺盛でわがままな性格に起因するのではなく、顔の表情を作る筋肉が、たとえば犬などに比べ未発達のためだと言うのだ。人間の場合も、表情が冴えないタイプは顔面筋肉が未熟ということなのか。
 はなは普段、ネコ顔をしている。ネコ顔とはどういう顔かと聞かれたら、一般的なネコの顔をしているとしか答えようがない。眠たいとき、腹減ったと言うとき、撫で撫でしてとすり寄ってくるとき、ボール遊びしようと目を輝かせるとき、はなの顔はネコの顔をしている。
 ところが、あるときだけ、はなはネコ顔でなく、いやネコの顔なのだが、ネコとしてはなんとも奇妙な表情を見せるのだ。それは、彼女が、居間の低いテーブルに両肘をついて、私たち人間の話に入り込むときだ。彼女は疑り深い目でしっかりとこちらの二人を見つめて、まるで「話を聞こうニャン?」と語りかけてくる。
 思い起こすと、はなはまだ一歳かそこらのときから、その格好で割り込んできた。そのころはボール遊びをするときと同じようなキラキラ目をしていた。でも、いつのころからか、ネコの目とは思えない、老成したというか、世間の酸いも甘いもよくよく知り尽くしたという目つきをするようになった。その表情は、目尻が垂れて瞳孔が小さくなり、頬がこけ、かわいげがない。いかにも老衰間近のお婆に似ている。人の顔なら、こんなあからさまな批評をしたら名誉毀損になりそうだが、ネコにつき勘弁してほしい。
 そういうとき、はなは、しゃべりはしないが、いかにもなにか言いたそうなオーラを送ってくる感じがする。夜が更けるほどに、酔いが回り、そのかわりろれつが回らなくなった人間を観察しながら、不細工だが豊かな表情の彼女は、「ばか言ってんやニャーよ」とか、「いい加減、寝た方がいいんやニャーか」などと忠告してくれているようだ。
(2011.11.18了)

<この写真は、四、五年前のまだかわいい目つきのころ>
コメント
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