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帯とけの枕草子(拾遺二十二)檳榔毛は
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで、この時代の人々と全く異なった言語感で読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」だけである。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子(拾遺二十二)びらうげは
文の清げな姿
檳榔毛(びらうげ・高級牛車)は、のどかにやっている。網代(あじろ・普通牛車)は、走らせて来る。
原文
びらうげは、のどかにやりたる。あじろは、はしらせくる。
心におかしきところ
上等なものは、ゆったりとやっている。普通のものは早く来る。
言の戯れと言の心
「びらうげ…檳榔毛の車…上皇、親王、大臣などが用いた牛車…上等な車」「車…しゃ…者…もの…おとこ…くるま…(山ばや果ての)来る間」「のどか…動作などがゆったりとしているさま」「やりたる…行かせている…進ませている」「あじろ…網代車…四、五位の者の常用車…普通の車…普通のもの」「はしらせ…走らせ…早く進ませ」「くる…来る…(山ばや果てが)来る」。
おとなの女による、おとこの品定め。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。