帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二百六十六〕扇の骨は 

2011-12-30 00:12:26 | 古典

  



                      帯とけの枕草子〔二百六十六〕扇の骨は



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。



清少納言枕草子〔二百六十六〕あふきのほねは


 文の清げな姿

 扇の骨は朴。紙の・色は、赤い、紫、緑。


 原文

 あふぎのほねは、ほお。いろは、あかき、むらさき、みどり。


 心におかしきところ

 合う木のほ根は、おおしい。色情は、元気な、群咲き、若々しい。

 
 言の戯れと言の心

 「あふき…合う木…男…合う気」「ほね…骨…ほ根…お根…おとこ」「ほお…朴…細工物に用いられる木…堅く柔らかい…男…おとこ」「ほ…お…おとこ」「いろ…色彩…色気…気色…色情」「赤…元気色」「むらさき…紫…群咲き…一輪咲きではない」「みどり…若葉…若々しい」。



 枕草子は、おとなの女たちの読物。宮の最盛期には女房車十台即ち四十人とその従者の女たちがいた。それに、主上付きの女房たち、斎宮女房たち、女官たちがいた。その大人の女たちが主な読者。みな言の心と言の戯れを心得ていた。
 
 枕草子は、研究対象物件でも、高校生のテスト用素材でもないので、そのつもりでお読みください。


 伝授 清原のおうな

 聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)

 
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。