帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二百六十五〕下かさねは

2011-12-29 00:13:32 | 古典

  


                                               帯とけの枕草子〔二百六十五〕下かさねは


 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。


 清少納言枕草子〔二百六十五〕下かさねは

 文の清げな姿
 下襲は、冬は、つつじ、桜、掻練襲、蘇枋襲。夏は、二藍、白襲。

 原文
 したがさねは、冬はつゝじ、さくら、かいねりがさね、すわうがさね。夏はふたあゐ、しらがさね。

 心におかしきところ
 下重ねは、冬は、筒子咲くら、貝ねり重ね、すほう重ね。夏は、二合い、白ら重ね。

 言の戯れと言の心
 「したがさね…下襲(内衣のかさね着)又はその色の組み合わせ…下重ね…まぐあい」「下…身の下」「冬は…夫ゆは…夫弓は…ものの弓張りは」「つつじ…躑躅…表白裏紅色…つつし…筒子…おとこ」「筒…おとこのべつ称」「さくら…桜色…桜木…男木…咲くら」「ら…状態を表す」「かいねり…艶のある紅色…暮れない色…はてしない…貝練り…ゆっくり女のあゆみ」「貝…女」「すわう…すはう…蘇芳…暗い紅色…貝の色は蘇芳(土佐日記、二月一日)…女の色」「夏は…暑いのでこれくらいでね」「ふたあゐ…二藍…青紫色…二合…二回の和合」「白…男の色…もののはて…しらじらし」。


 伝授 清原のおうな

 聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)

 
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。