Doin' Alright/Dexter Gordon
(Blue Note BST84077)
映画ラウンドミッドナイトでパウエルをモチーフにしてヨーロッパで生き抜くジャズメンを好演したデクスター・ゴードンは言わずと知れたバップ期からの名テナー奏者です。40年代に名声を確立しましたが,50年代はデックスに取っては不遇をかこった時代でもあります。50年代はDootone, Bethlehemと好アルバムを録音していますが録音の機会に恵まれていたとは言えません。この不遇から救ったのがブルーノートであり,デックスにとっても第二の黄金期と言ってもいいのではないでしょうか。本日アップの"Doin' Alright"はBNの初リーダー盤であり、前述の映画ではとても観られない役者デックスの満顔の笑顔が印象的な一枚です。
パーソネルはFreddie Hubbard(tp), Dexter Gordon(ts), Horace Parlan(p), George Tucker(b), Al Harewood(ds)の五重奏団です。A-1はタイトル曲で得意のミディアムテンポに独特の後乗りで行くデックスの快演が聴けます。売り出し中のフレディのラッパは50年代のマイルスやブラウニーを思わせる美しいトーンで、カムバック賞とルーキーの競演と言う感じです。A-2のバラード"You've Changed"のデックスの唄心も圧倒的ですよね。B-1のデックスのファンキーなブルースもいいですね。淡々とブルージーにフレーズを重ねるパーランがいい出来です。オーラスの"It's You Or No One"の出だしのデックスの音色、これぞ木管,テナーと言うサウンドですばらしいです。後ろで支えるタッカーのタイトなピチカートが気持ちがいいですよ。さすがブルーノートという4000番台らしい一枚だと思います。
所有盤はUnited Artistsの青/白ラベルです。新潟,石丸電気で新品で購入した一枚です。馬車に乗ったデックスのこれ以上ないと言う笑顔が実に素敵ですね。