斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

天竜川の船の転覆事故に関して

2011年08月19日 20時02分37秒 | 水難・ういてまて
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、行方不明者の早期生還をお祈りします。

昨日は、大学の行事が重なり、報道機関からの取材にはコメントだけで対応させていただきました。
船舶から落水するシミュレーション画像はすでに撮影してあって、解析も終了していたのですが、ホームページにはアップしていませんでした。

本日、アップしました。
http://hts.nagaokaut.ac.jp/survival/senpaku.htm

船舶からの落水事故では、本人ばかりでなく同乗者も転落する恐れがあり、船の上の対応はたいへん難しいと感じています。落水したあと、落水した本人が背浮きをしながら119番通報をかけられるかどうかの試験もやっています。落着いていれば出来ますが、まずは安定して背浮きで呼吸を確保することが肝要です。

★★★乗船する際には、救命胴衣の着用、防水携帯電話の所持が命を守るために重要なことです。★★★

一部報道で、船から落ちたら(投げ出されたら)着衣泳で背浮きをすることが最善の方法のような、誤解を招くような内容がながされました。解説していた人は水難学会となんら関係のないひとです。水難学会では、救命胴衣の着用が絶対条件という認識です。着衣泳の背浮きは「あくまでもそういうことをしていなかった場合の最後の手段」ですから、確実に生還できることを保障するものではありません。

よい話を聞きました

2011年08月19日 17時03分08秒 | 企業訪問記
奈良機械製作所という会社の人事担当の方とお話をしました。
最近の学生の就職活動でインターネットからいろいろな情報を得ているという話題になりまして、その方が「大人の知恵を大人として若い学生に話してあげるべきだ。これが大人の役割だ」と発言されました。

たしかに学生のお父さん、お母さんの年代、われわれ教員は、すくなくとも学生の皆さんより社会で経験していて、こういう業種、会社、内容がこの人に合う、合わないというのはすべてとはいわないけれども、ある程度わかります。そして、大人がそういう話をきちんとしてあげるのが、大人の役割だとすれば、そのとおりだと思います。

身近な大人の意見ですべてを決めるのもまずいですが、インターネット情報100%というのはさらにまずい。大人がきちんと役割を果たせる世の中にならないとだめですね。