小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

「ピンポン型」でなく「バレーボール型」というけれど

2013-09-12 17:47:48 | 授業中の攻略法

「ピンポン型でなく,バレーボール型の授業を」
とよく言われます。
「ピンポン型」とは,いわゆる一問一答型の授業です。
先生が一問出す。
ある子一人が答える。
また先生が一問出す。
またある子一人が答える。
これが繰り返される授業です。
先生と子どもの卓球「ピンポン」ですね。
「バレーボール型」とは,子どもたちの中で言葉が交わされながら,高まったものが返ってくる授業です。
先生が発問する。
すると,それに対して子どもどうしで意見を出し合ったり,議論したりする。
そして,複数の子を巻き込んだ広い学びが生じる。
1・2・3で相手に返球するバレーボールのようです。

学校では,しばしば「ピンポン型」はまずいとされ,「バレーボール型」が望ましいとされます。
バレーボールの方が,子どもの活動量が多いし,主体的な動きが多くなります。
自然と先生の出番が減り,その授業は「子どもが主役」というふうに形づくられていきます。
私も,こんな授業をめざして,(別に「バレーボール」と意識したことはないが)毎年どのクラスを持っても,いろんな手立てをしています。

じゃあ,「ピンポン型」は,そんなにダメなんでしょうか。
研究授業などでしてしまったら,「言語道断」のように言われるのも聞いたことがあるこのスタイル。
学びの範囲が狭い。
先生の出番が多く,子どもの出番が少ない。
先生主導の授業になる。
深い思考が生まれない。
子ども同士の高め合いがない。
そんなデメリットのことをきっと言っているのでしょう。
これらは,確かにそうだと思います。
授業がこれらのデメリットで埋め尽くされるようでは,まずいでしょう。

しかし
ピンポン型があるから,バレーボール型が際立つ!
私はそう思います。

望ましいからといって,常にバレーボール型の授業をしようとしたら,どうでしょうか。
まずはマンネリ化が起こり得るでしょう。
どんなスタイルであっても,ワンパターンすぎる授業は,子どもたちを飽きさせます。
また,バレーボール型に潜む影の部分だってあるはずです。
このスタイルの授業は,子どもたちが相当な力をつけてなくては展開できないスタイルです。
その力がないままにしてしまうと,無責任に子どもたち任せにしてしまっているだけの授業になります。

その授業の中で絶対に学ばせたいことを,学ばせないままになる危険性もあります。

逆に「ピンポン型」のメリットだってあると思います。

何より,上手な「ピンポン」は,授業にいいリズムを生みます。

それは子どもたちにとって心地よく,活動に勢いをつけます。

さらに,学ばせたい事項を落とさず取り扱うことができます。

これらのことを踏まえて,授業ではピンポンとバレーボールをうまくバランスをとって,適材適所に両方を取り入れることが,一番の理想だろうと思います。

問「この美しい色の絵は?」

答「浮世絵!」

問「描かれた技法は?」

答「版画!」

問「これで有名な人物は?」

答「歌川広重!」

ここらへんまでは一問一答のピンポンでいいじゃないですか。

先生がテンポよくどんどん進める。

子どもたちは簡単な質問なので進んで答える。

一人しか発表できないというなら,指名の仕方を,列で指名するとか,班で指名するとかすると,発表できる人数は一気に増えます。

こうして勢いがついてきたころに

問「じゃあ,この浮世絵が登場したことによって,人々の生活にどんな影響が出てきただろうか。」

と,少し奥の深そうなことを問う。

ここでピンポンからバレーボールに転換。

「隣の人と話し合ってごらん。」

「グループで相談してみましょうか。」

ある子が意見したときに

「本当にそうだろうか?みなさんどう思う?」

などと先生がつなぐ。

さっきのピンポンで子どもたちは温まっているから,このバレーボールに入っても意見がしやすい雰囲気ができています。

ピンポンもできる。

バレーボールもできる。

そんな先生,そんな子どもたち,そんな授業がいいと思うんです。

ピンポンはダメ,バレーボールがいいと,一概には言えないでしょう。

安易に研修の資料等でそう謳うべきではないと思います。


1 コメント

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その通りです。バランスよく柔軟でありたいですね。 (Unknown)
2013-09-13 07:02:56
その通りです。バランスよく柔軟でありたいですね。

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