小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

ICTは子どもの学力を… 落とす?

2015-07-15 22:14:20 | 授業中の攻略法
以前にも増して、私は授業でICTを多く活用するようになりました。
本校の今年の研究テーマがICTに関連しているということもあり、おかげさまで様々な機器の充実も図られるようになり、より活用しやすい環境になりました。
うれしいことです。

最近は、いろんな所に出向いてICT先行研究校の授業を見たり、大学の先生の講話を聞いたりする機会も増えました。
ICTが授業の質を高める優れたツールとして、その利用が広がっています。

以前にこのブログでも紹介しましたが、私は児童用タブレットPCを活用した授業も実践しています。
子どもたち一人一人にタブレットPCを持たせ、教師の大型電子黒板と連動させる授業です。
地元メディアの取材を受けたりもしましたが、今度、またそのスタイルの授業を公開する予定もあります。
ということで、この夏休みもICTの研究に先生たちと熱を入れることになりそうです。

つい先日、実家の母と話すことがありました。
母も教員です。
私は自分がしているICT活用の授業の話をちょこっとだけしました。
「今どき、いろいろと便利になってるよ」
すると、母は以外な反応でした。
「便利すぎるのもどうかと思うよ」

母が言うには
便利になる→子どもが努力しなくなる
ということだと。

うーん
一方的に、「ICTは子どもの学習を助ける」という側面しか見ずに研究を進めてきた私には、なかなか強烈な意見でした。

子どもの関心を高める
課題をつかみやすくする
理解を深める
他者との交流を促す
発表を手助けする

そういった効果をもたらすのがICTであり、適材適所で積極的に利用していくべきものだと、そうとらえていました。

しかし、母のシンプルなその発想は、たしかに一理あると思いました。
上に上げたような効果を、確かにICTはもたらすとは思いますが、逆を言えば、理解を深めたり他者と交流したりするという、それ自体の努力を子どもがしなくなる、そうも言えるのかもしれないと。
私たちが、よかれと思って行っている手立ては、結局は、子どもの力を落としている、そういうことにつながるのかと…

とまで、一瞬思いました。
母が、あまりに意外なことを言うので、私もはっとして、極端なことを考えてしまいました。
しかし「極端すぎる」
思い直しました。
うっかり、ICTを悪役に回すところでしたが、そんなことはないと。
やっぱり、ICTはICTで優れたツールであることは、相変わらず間違いないはずです。

ただ、母の発想も大事だとは思わされました。
肝心なのは
ICTに頼る授業にならないこと。
言い換えれば、その授業はICTがなければ成り立たない、そんな授業を創らないということだと思います。
だって、ICTは一つのツールにすぎないのだから。
学習内容と、学習者の子どもをつなぐ一つのツールにすぎず、それがなくても、主役である子どもたちの学びは保証されるべき。
授業とはそんなものだと思います。

授業者である先生は、ICTを使って満足することなく、やっぱり子どもの姿を見て満足するべきです。
子どもに力がついたかどうか。
それのみが授業の良し悪しを量る唯一の基準であることを忘れてはいけませんね。
そこをしっかりととらえていれば、ICTで便利な授業になったからといって、うちの母が指摘したような
「子どもが努力しなくなる」
ということにはならないはずです。