湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

自由題「春の悲観論」

2021-03-02 18:10:54 | オリジナル
自由題でAが書いた詩を投稿します。

春の悲観論

ここに生まれることは
新たな傷を身に刻みつけること
回復できずに泣いて過ごすこと
もうまっさらではない

たとえば鼓膜を
たとえば膝を
たとえば歯を
たとえば腸壁を
ついばまれる前の
状態に戻そうとしても
鴉に嘲笑われるだけ

欠けた貝殻を踏んで
海岸を歩きつつ
新たに出会った人に
打ち明け話をしてみる

生前に引き返したり
晴れた空に昇ったりすることを
望んでも仕方ないから
に他ならない
コメント
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