湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

種の詩パート1

2021-03-10 15:57:37 | オリジナル
共通テーマ「種」でAが書いた詩を投稿します。

詩―悪疫

取り扱い書店欄にこの本屋さんが載っているのですが
「びーぐる」という雑誌はどの棚にありますか?
――何の雑誌ですか?
詩です
――し?
詩、ポエトリーです
――?

大方の書店員が
現代詩を現代史と
詩集を刺繍と間違える
詩には市民権がない
あのときも「びーぐる」は買えなかった

言葉の種を脳に蒔くと
ウイルスが取り付くことのできぬ
点線のマニエリスムが あるいは
都度変異するウイルスそのものが
うねうねと空気中に生長する
古代では呪術でもあった
詩ですよ、ポエトリーですよ

災厄に襲われた世界で休止している自主グループ
の 以前の会合で
自分の出した詩集を見せてそっと押し戻されたとき
このグループにはいられないとうっすら思ったのだが
詩を解さぬ者たちとの別離に
ふと気づけば今は数多の理由が思い当たるのだった

誰も刈らなくとも種を撒け
悪疫のように蔓延らせろ 
どんな目印も付けられないし追跡できない
ポエトリーの種の量は変わらない
コメント
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