昨日、私の所属する短歌結社「塔」の結社誌11月号が届きました。
以前も一度ご紹介したことがありますが、山下れいこさんという、インターネット歌会の常連参加者であり、愛媛県在住だった方の最後の作品が載っていました。
8月に亡くなられて、その8月に作られた歌が、3ヵ月後の今月、11月号に掲載されるのがお約束です。
松村編集長に「11月号に山下さんの最後の作品が載ります」と教えていただいていましたが、これが最後の作品と思うと感慨深いし、同時に、最後の最後まで詠い続けた山下れいこさんの歌人魂に拍手を贈りたいような気持ちです。
すばらしい一連だと思うので、広くお読みただきたきたいと、「塔」11月号から転記させていただきます。
やはらかく紙風船に息を入れ猫と転がす六畳和室
横臥するわが背を撫でつつ一瞬の沈黙はあり水照りのやうな
袖すり合ふたびに風立つ四人部屋十日を暮らす母姉妹
枯れ枝を流して速し渓の水わたしのこゑを誰か掬って
葉月の陽けだるく差しくる病室に額を上げてわたしは祈る
残されし此の世の時間は幾何か見え隠れするキリストの踵
飼ひ猫のしづかに窓の外見てをりぬ脚太き虹の立つ朝
週末の迎へ方をばたれに聞かむベロニカの花芽ふくらみてきぬ
メーテルはいづこへゆくのか終電はゆるく弧を引く光の箱なり
堪えられる痛みの果ては涙(るい)となるましろく冷ゆるふろふき大根
以上です。
山下さんは確か昭和20年のお生まれでしたから、享年70歳か71歳であられましたか。
あらためて、ご冥福をお祈りさせていただきたいと思います。
和歌山の全国大会懇親会臨席せしが最初の最後 biko
以前も一度ご紹介したことがありますが、山下れいこさんという、インターネット歌会の常連参加者であり、愛媛県在住だった方の最後の作品が載っていました。
8月に亡くなられて、その8月に作られた歌が、3ヵ月後の今月、11月号に掲載されるのがお約束です。
松村編集長に「11月号に山下さんの最後の作品が載ります」と教えていただいていましたが、これが最後の作品と思うと感慨深いし、同時に、最後の最後まで詠い続けた山下れいこさんの歌人魂に拍手を贈りたいような気持ちです。
すばらしい一連だと思うので、広くお読みただきたきたいと、「塔」11月号から転記させていただきます。
やはらかく紙風船に息を入れ猫と転がす六畳和室
横臥するわが背を撫でつつ一瞬の沈黙はあり水照りのやうな
袖すり合ふたびに風立つ四人部屋十日を暮らす母姉妹
枯れ枝を流して速し渓の水わたしのこゑを誰か掬って
葉月の陽けだるく差しくる病室に額を上げてわたしは祈る
残されし此の世の時間は幾何か見え隠れするキリストの踵
飼ひ猫のしづかに窓の外見てをりぬ脚太き虹の立つ朝
週末の迎へ方をばたれに聞かむベロニカの花芽ふくらみてきぬ
メーテルはいづこへゆくのか終電はゆるく弧を引く光の箱なり
堪えられる痛みの果ては涙(るい)となるましろく冷ゆるふろふき大根
以上です。
山下さんは確か昭和20年のお生まれでしたから、享年70歳か71歳であられましたか。
あらためて、ご冥福をお祈りさせていただきたいと思います。
和歌山の全国大会懇親会臨席せしが最初の最後 biko