僕の詩集

「人間・人生・生きる」をテーマに、色々な角度から人間を描写し、格言詩を目指しております。
読みやすく解りやすい詩です。

僕の詩集No.346【 チアキ誕生 】

2015-07-13 09:31:57 | 
   チ ア キ 誕 生

         にのみや あきら


日赤産院新生児室の隔離病棟で
看護婦さんに
大切そうに抱き抱えられた赤ちゃんを
ガラス越しに見たのが
あなたとの初対面
父さんと母さんの
初めての赤ちゃん
全身が皺だらけで手の指が細長く
胎児からまだ抜け切っていないが
立派な一つの生命体
白衣の人たちに見守られ
安心し切って
ただひたすらに眠り続けている一つの命
心臓が機械的に息吹いているだけで
まだ本能を駆使することのできない
生命の塊

母さんのベッドの傍らで
オシメの交換をしてもらっているのを見て
あなたが女の子であることを初めて確認
父さんに
娘が誕生した
健康で健やかに育ってほしい
一人前の立派な女性に育ってほしい
そう願って祈っていると
世の中の女性があなたにオーバーラップした
世の中の娘を持つ父親みんながそう願っているに違いない
そう思うと
父さんの女性に対する意識が変化した
いや意識だけではない
身体のすみずみの細胞までも

チアキと命名した
平凡だが父さんと母さんの名前を合わせて付けた
父さんの名前が下になるので少し躊躇した
だがアキチではおかしい
父さんと母さんの間で
いつの間にか
千秋に決まっていた


目が覚めて
母さんの姿が見当たらないと
大泣きのウォーミングアップ
蒲団の上を慌てて台所へ
狭い部屋の真ん中にある柱の角に
何度も何度もオデコを打ち付けながら
すくすく育った
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