サラリーマンも役者も
にのみや あきら
僕は
何て
ばかばかしいことをやっているのだ
そう感じるようになったら
役者としての生命はお仕舞い
自分を無にし
感情を無にし
自分でない他人を演じる
それが役者だ
悲しくても
笑わなければならない
楽しくても
泣かなければならない
そして観客を歓喜させる
何てばかばかしい職業だ
そう思うようになったら
役者としてはお仕舞い
恐ろしいことに
それが起きてしまった
僕は
何て
ばかばかしいことをやっているのだ
そう感じるようになったら
サラリーマンとしての生命はお仕舞い
自分を無にし
自分を殺し
自分でない自分を演じる
それがサラリーマンだ
黒いものでも
黒とは言えず
気に食わない上司にも
従わなければならない
そしてオーナーを喜ばす
なんてばかばかしい稼業だ
そう思うようになったら
サラリーマンとしてはお仕舞い
恐ろしいことに
それが起きてしまった
僕は
何て
ばかばかしい生き方をしているのだ
そう感じるようになったら
人生はお仕舞い
自分を無にし
欲望を捨て
道化を演じなければならない
観客のために
オーナーのために
自分のために
家族のために
芸術のために
ばかばかしいと感じても
自分を殺し
道化を演じなければならない
この世に生を授かったからには
ばかばかしいと思わないで
ばかばかしさを演じなければならない
でも
時には真実も叫ぼう
真剣にならず
深刻にならず
自分の本当の役を演じることだ
道化の衣裳を捨てて