ふろむ播州山麓

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電子書籍元年2010 №12 ヌードとポルノ

2010-09-06 | Weblog

 講談社が自社の有力コンテンツであるたくさんのマンガを、アップルの携帯端末「アイフォーン」や「アイパッド」で販売しようとした。ところが、大半の作品がアップルの審査で掲載を拒否された。女性の胸の露出や暴力流血シーンがあるという理由である。ポルノ・エッチ・ヌードに対するアップルの規制は徹底している。

 ドイツでも大問題が起きた。2009年11月、週刊誌「シュターン」のアプリをアップストアは突然削除してしまった。理由は、ヌード写真が多すぎるからである。ドイツの出版社団体は、アップルに強烈に抗議した。ドイツではアメリカのアップル端末を警戒し、独自の携帯端末プラットフォームの普及に国民の眼が向いている。

 政治風刺漫画家のマーク・フィオーレは2009年末、アイフォーン・アプリを立ち上げる申請をアップルに提出したが拒否された。理由は、アプリの開発者が遵守すべき規制(非公開)のうち、著名人を物笑いの種にすることを禁ずる、3・3・14項に抵触するからだという。しかし2010年、フィオーレがピューリツアー賞を受賞すると、さすがに申請は認められた。<「ニューズウィーク」2010年5月26日号>
 アップルCEOのスティーブ・ジョブスは、ポルノ潔癖症で有名である。表現の自由など、気にもかけないひとのようである。表現・出版の自由というが、電子出版に自由はないに等しい。

 また、世界中のすべての書籍をデジタル化しようと目論むグーグルは、著作権を無視することで有名である。傍若無人! この社も、ポルノ・アダルトを嫌う。
 グーグル創業の2年後、2000年に入社したM・カッツの最初の仕事は、ポルノ関係の検索の阻止であった。それは当時、検索結果全体の4分の1を占めていた。解決策はアゴリズム(演算方法)で、典型的なポルノ用語に低い評価を与えることであった。
 そのためカッツが取り組んだのは、ポルノ用語を列挙することである。彼は毎日、延々とポルノサイトをみてまわった。彼の妻も、熱心に用語探しを手伝った。
 グーグルのエンジニアたちも、ポルノぽい言葉を思いつくたびに、カッツに知らせた。そのたびに褒美として、「ポルノクッキー」が思いついた彼らに1枚ずつ与えられたという。そしてポルノサイトは、グーグル検索に引っかからなくなったのである。<ケン・オーレッタ著『グーグル秘録』2010年刊・文藝春秋>

 「グーグル八分」という言葉がある。グーグルが「掲載不適当!」と判断すれば、同社の検索から排除されてしまう。個人、組織名などのキーワード、それらが消去抹殺され、ヒットしなくなってしまうのである。
 わたしのこの項が抹殺される? まさか。しかし村八分になれば、光栄至極です。アップルもグーグルも、危険な存在であることは間違いありません。あるいはアマゾンも、かもしれません。米国の世界戦略は、情報の独占と操作ではないでしょうか? 
 中国本土から撤退したとされるグーグルですが、中国オリジナルの検索エンジン「百度」バイドゥ日本語版をみると、検索結果はグーグルと実によく似ています。密かに手を組んでいるのではないか? 邪推でしょうか? 
 それと、韓国の検索エンジン「NAVER」日本語版は独立独歩。実に楽しい検索項目が並んでいます。
 利用者の多い「ヤフーJAPAN」は近々、グーグルに同化してしまいます。なぜか、日本製オリジナル検索エンジンは、まだない。ユニークな和製ハイブリッドエンジンの誕生を期待します。
<2010年9月6日>

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