ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

藩と方言 2

2011-12-19 | Weblog
この連載で「藩と方言」を書いたことがあります。
<http://blog.goo.ne.jp/0000cdw/e/00fdfe2489905cfd186d43a058ee3a48>
 京都新聞12月13日「凡語」欄も、江戸時代の方言のことを載せていました。
 「地方武士が参勤交代で江戸に来ても、互いに通じる言葉が探せず、漢字に頼るのが一番手っ取り早い。<困る><弱る>という気持ちを伝えるのに高松では<あずる>、山形では<がおる>という。そこで、紙に1文字<困>と書いて見せれば通じたというわけだ。」
 今年の漢字に「絆」が選ばれたことからの漢字話しですが、またもや方言に興味がわき、各地の「困る」を調べてみました。

①全国区「困る」
<あえる> 山形・鳥取・島根・香川・長崎
<がおる> 青森・岩手・秋田・山形・宮城・福島・茨城・群馬・千葉・新潟・岐阜・富山・徳島
<がめる> 青森・山形・鳥取・島根・岡山
<かなわぬ> 栃木・富山・長野・岐阜・三重・和歌山・滋賀・京都・兵庫・岡山・徳島
<きける> 茨城・奈良・島根・山口
<こたえる> 新潟・山梨・鳥取・島根・徳島・香川
<しける> 栃木・兵庫・岡山・熊本

②東日本
<あかまる> 新潟
<いたまる> 茨城
<おえない> 宮城・山形・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川
<がれる> 山形
<くたびれる> 長野
<ししゃない> 宮城・石川・山形
<てこずむ> 山形・新潟
<てとる> 青森・秋田
<とんじまげる> 秋田
<やじまげる> 岩手・秋田

③西日本
<あおくる> 香川
<あくばる> 島根
<あずる> 兵庫・岡山・広島・島根・山口・徳島・愛媛・高知
<あばーずる> 山口
<うたう> 和歌山・兵庫・香川・沖縄
<うるー> 島根
<くそたれる> 香川
<こくえる> 香川
<ごじゃける> 香川
<しゅくぇーしゅん> 沖縄
<そる> 三重
<ちぇーばる> 長崎
<にがる> 和歌山・徳島・高知
<はじかく> 三重
<はどる> 三重
<ひしまく> 福岡
<ひらける> 福岡・大分・熊本
<へたる> 福井・和歌山・岡山・島根・徳島・大分
<よろける> 岡山
<もったい> 石川

○「がおる」は何も山形県だけではありません。「がめる」「がおる」は仲間語でしょうか。両語は青森から島根・岡山・徳島県まで、広範囲に広がっています。
○京言葉をみると「こまる」は「込まる」、隙間にはさまる意味とあります。確かに、困るは「込まる」かもしれません。
 また「なんぎ」は難儀でしょうが、京都、大阪、和歌山、三重、兵庫などに分布。
○各方言はほんとうに多彩です。なかでも島根県、香川県など、おどろくほど豊富な表現があります。「困った…」が通じなければ、ほんとうに困りますね。
○また「困る」は「弱る」と同様にも用いられます。「弱る」も調べてみようかと思ったのですが、弱るは「かれる」に近い語です。枯れる・涸れると共通するようです。かつてこのブログで「けがれ」気枯れ・気涸れについて何度か書いたことがあります。あらためて「弱る」はいつか考えてみようと思っています。
<2011年12月19日 南浦邦仁>
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