平日は毎朝、阪急電車で通勤しています。桂駅か隣りの洛西口駅から河原町に向かいます。ところで洛西口駅ですが、京都人でも知る方は少ない。「ラクサイグチ? 丹波口とは違うのですか?」
この駅は、オープンしてから六年になります。駅裏はいまだに広大な空き地。もとはキリンビールの工場だったのですが、取り壊してしまい大草原になりました。そのペンペン草地帯の開発を見越して開業した新駅でしたが、一向に客足は伸びません。
JRも同様に、新しく桂川駅をつくったのですが、草原には住宅の一軒も見当たりません。この駅の利用者も少なく、草原と同じく閑古鳥が鳴いています。
開発頓挫の原因は、中核になるはずだったショッピングセンター計画が、胡散霧消してしまったからだそうです。消費景気の低迷で、スーパーはどこも苦戦。核が決まらないために、住宅地用の道路も線引きできない。さらには小学校建設のために土地を購入した洛南中高等学校も、キツネの出そうな大草原に、先行して建設をはじめる勇気もない。すべての計画が、それこそ頓挫してしまったのです。
それはさて置き、早朝に洛西口駅改札に向かって歩いていたら、女性がひとり、チラシを通学勤客に配っているのです。ポケットティッシュ以外、いただくことの少ないわたしですが、あまりに素人ぽい方なので「ください」と手を出しました。その紙には「プロバスケ 始まります。bjリーグ プロバスケットボールチーム 京都ハンナリーズ出陣!」。そして年内の京都地区での試合スケジュールが列記されています。対戦相手は、ライジング福岡、滋賀レイクスターズ、高松ファイブアローズ、大分ヒートデビルズ。
ハンナーリーズとは、いかにも京都らしい、いい名ですね。「はんなり」から取ったのでしょうが、説明のむずかしい京言葉です。「はんなり」は「華なり」の転じたものといいます。渋みや控えめを秘めた華やか、おとなしさを含んだ静かな豪華、そういった感じです。大分のデビルに対抗するには、激しさが足りないような気もしますが。
プロ野球、プロサッカー、プロゴルフ、プロレス、プロ相撲、パチプロ、プロサーファー(自称)…。スポーツ音痴のわたしですが、プロスポーツにいろいろあることは、少しは知っています。しかしプロバスケは初耳でした。これからは、プロゲートボール、プロドッジボール、プロ羽子板…、そのようなプロチームもいつかは誕生するかもしれません。
長々と前置きを書き連ねましたが最近、興味があるのは蹴鞠(けまり)と打球戯です。西暦645年の大化の改新、前年の打球・打毬試合がきっかけとなって起こったクーデターです。この「打毬」は、フットボールの蹴鞠なのか、それともホッケー型の地上歩行型打球なのか、研究者間でも意見がわかれ、激論交戦?が続いています。
球技の歴史を調べていて気づいたのですが、この問題を解決するためには、関係する球技を明確に区分しなければならない、ということです。混ぜて考えると頭のなかが混乱してしまいます。ざっと分ければ以下の通り。ハンドボール型やゴルフ型などもありますが今回、除外しています。
① フットボール平和型:蹴鞠
原則八人制。四方の懸(かかり)とよばれる四本の木の間にふたりずつ立つ。
チーム連携で地面に落とさず、何回蹴り続けられるか、その回数を競う。
蹴り姿の美しさも大きなポイントです。
② 無棒歩行戦闘型:古代中国で行われた軍隊調練用地上球技。
現在のラグビーやサッカー、アメフトなどに似ているようです。前漢で盛ん。
③ ホッケー型:地上歩行・棒打球技
毬杖・毬打(ぎっちょう)など。「左ぎっちょ」の「ぎっちょう」です。
フィールドホッケーやゲートボール、ラクロス型。
毬杖・毬打では、チームは左右に分かれ、プレイヤーは入り乱れません。
アイスホッケーは今回、考慮外とします。
④ ポロ型:馬上騎乗・棒打球技
この競技は右打ちしかできません。
左を認めると、後ろから追いついて先行者の球を奪うという、
卑怯な戦法を使えるからかと思います。
スティックは右利き用にしか作られていません。
左利きには不利。左ぎっちょうは、もしかしたらここから?
⑤ バトミントン型:平板・羽子板
③が変形し、地面に落とさないという①型ルールを取り込んだ。
女子中心の小正月までの球技。
本来は毬杖同様、左義長(さぎちょう・とんど)で燃やしたようだ。
皇族や公家の娘たちは度々、豪華な板のプレゼントを脅迫強要した。
平安時代以降にはじまった新しいスポーツ。大化の改新には無縁。
これらを踏まえて、大化の改新のボールゲームを、これから考えていきます。なお大化の改新を描いたコミックが出ていました。長岡良子著『暁の回廊』(秋田書店・全4冊)。画もストーリーもすばらしい。感動しました。おすすめです。
<2009年11月8日 南浦邦仁> [181]
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