ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

2008-09-07 | Weblog
 海から遠く離れた京都市ですが、食生活は昔から豊かです。なかでも「京野菜」は、長年この地で育まれた伝統の産品です。わが家ではスーパーで安い野菜を買っていますが、京産は少なく、だいたいが各地国産のようです…。

 堀川ゴボウも代表的な京野菜です。400年ほど昔、徳川家の台頭とともに、豊臣家の名建築、聚楽第[じゅらくだい]の堀は、付近住民のゴミ捨て場になってしまいました。たまたまこの地でゴボウが巨大に育ちます。それが堀川ゴボウのルーツです。
 当時のゴミは有機物に富んでいました。プラスチックもレジ袋もありません。金属を捨てることもまれです。生ゴミ、落葉、木灰、貝ガラ…。せいぜい割れた瀬戸物が混じるほどといいます。
 堆積物は豊かな堆肥になりました。保水・排水・通気にすぐれ、ミミズの多い、いい土壌です。この土が堀川ゴボウを産んだのです。

 ゴミ捨て場といえば、二十世紀梨も同様です。千葉県松戸市のゴミ捨て場で当時、高等小学校の生徒だった松戸覚之助が偶然、発見しました。明治21年(1888)のことです。この苗木は10年後、覚之助の自宅庭で結実します。多汁で甘く、口にしたひとはみな絶賛し、1904年に「二十世紀梨」と命名。
 わたしはてっきり、鳥取県で誕生したナシだと思っていました。千葉県生まれだったのです。19世紀末の結実から百年以上が過ぎ、もう21世紀です。

 堀川ゴボウも二十世紀梨も、ともに豊かな土のゴミ捨て場で発見され普及したのです。
 現代では道端に、プラスチックや金属類ばかりがいつまでも積み重なり、野の草しか育たないのが残念です。リサイクルの時代、有機物を豊かな土に返す手立てはないものでしょうか。落ち葉ですら、有料のゴミ袋に詰め込まれてしまいます。
<2008年9月7日>
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