ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

富士山とブラックバス

2013-07-01 | Weblog
 新幹線で東京に向かう車中、いちばんの楽しみが富士山。今日は見えるかしら、といつも思いながら居眠りしてしまう。それでも近づくと目が覚め、見落とすことはありません。不思議ですが、理由は簡単です。車内がざわざわするからです。
 「わあっ!」とか「きれい!」とかという声とともに、ケータイがパシャパシャと音をたてます。海側の席の乗客は山側のドア窓に移動もする。ですから寝ていても、見える日には必ず優姿に出会えます。

 世界文化遺産に選ばれたことは素直に喜びますが、富士五湖の西湖・河口湖と山中湖には納得がいきません。6月29日付けの新聞が報じましたが、この三湖では毎年、ブラックバスが放流されているのです。山梨県の公認です。
 2005年施行の外来生物法はブラックバスの放流を禁止しています。しかし山梨県の三湖と神奈川県の芦ノ湖のみは、法施行以前から漁協が漁業権をもち、例外的にブラックバスの放流が認められています。三湖では釣り人から遊漁料を徴収している。そして10年に1度、放流の可否が見直しされるのだが、世界遺産登録が決まった直後、またもやバス放流が10年延長されることになりました。
 地元漁協では「業者の生活がかかっている」と主張しています。確かに百軒以上が釣用貸しボートで生計をたてている。三湖の遊漁料合計は年一億円近くにのぼるそうです。

 しかしどうも納得がいきません。また西湖には貴重種のクニマスが棲息しています。サカナ研究家でタレントの「さかなクン」が発見しましたが、秋田県田沢湖の固有種が公害汚染水のために絶滅する前、戦前に西湖に卵がいくらか移されていた。それが奇跡的に生きのび、西湖での棲息が確認されたのが2010年。
 ブラックバスとクニマスが共存できたのは、湖での棲息域に違いがあるためだそうですが、クニマスの稚魚はきっと外来種の餌食になっていることでしょう。
 世界に誇る文化遺産の富士山一帯です。レッドリストに野生絶滅種と記載されている貴重なクニマスを放流して、三湖を名所にしてみてはいかがでしょう。この遺産魚がどんどん増えれば食用にもできます。塩焼きでもフライでもおいしいらしい。そのためにはまずブラックバス退治を先行しなければなりません。ブラックバス・バスターズでしょうね。

 クニマスの故郷である田沢湖では「クニマス里帰りプロジェクト」を継続中です。しかし七十年以上も前の汚染水の影響はいまだに残り、酸度の高い田沢湖でのクニマス復活はむずかしい。片や里帰りをこころから望み、一方では遊びの漁で収入を得ようとする。
 わたしは富士三湖がクニマスで溢れることを望みます。田沢湖の水質改善も同様です。
<2013年7月1日 山開き>
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