ふろむ播州山麓

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ブータンの幸福 3 「OECDの幸福度指標」

2011-11-27 | Weblog
 経済協力開発機構 OECDが、加盟各国の幸福度指標を発表しました。今年5月24日のことです。OECD創設50周年記念の一環だそうです。また機構は今回の発表を第1回の中間的なものとし、2013年以降に決定打の各国指標を発表するそうです。どのような方法で、何が基準でいかに判断されるのか、いまから楽しみです。
 なお今回の満足度指標は、11項目からなっています。住居・収入・雇用・社会のつながり・教育・環境・政治への信頼・健康・生活の満足度・安全・ワークライフバランス。いずれも10点満点で評価されていますが、単純に合計点で判断することはできません。日本の高得点は安全が「9.7」、教育は「8.8」。満足度が低いのは収入「3.7」、ワークライフバランス「4.1」。
 ところでブータンGNHの基準は、公平・自然環境・伝統文化・政府行政の統治・生活水準・健康・教育・コミュニティ・日常生活への時間配分。両者はかなり似ています。「世界最大のシンクタンク」とよばれるOECDも、ブータンのGNHに触発されたのでしょうね。

 日経新聞はOECDの発表をつぎのように報道しました。概略ですが、5月25日朝刊。
 日本は家計や雇用、高等教育など多くの指標で平均を上回る位置につけたものの、生活への満足度は低かった。OECDは国内総生産GDPに代わる国民の豊かさを測る指標として、幸福度の世界共通の指標作りを検討中。13年以降に新指標に沿って順位などを含めた詳細な結果を公表する方針だ。今回の発表はそれに向けた中間的な報告になる。
 経済面でみると日本の家計の可処分所得はOECD平均を上回り、さらに家計資産は同平均の約2倍と恵まれていた。
 長いといわれる日本人の年間労働時間は1714時間で、OECD平均の1739時間より少なかった。
 平均寿命は82.7歳と加盟国中最も長かった。OECDは日本について「多くの幸福指標で平均以上」としている。
 一方、生活に満足していると答えた日本人は40%にとどまり、平均の59%を大きく下回った。満足度はデンマーク90%、フィンランド86%など北欧で高い。
 日経新聞以外の報道をみると、11指標の合計(数値の単純平均点)では、トップはオーストラリア、カナダ、スウェーデンと続き、日本は加盟34カ国中19位。

 OECD指数には、各国の客観的数値と国民の主観的満足度、両方が記されています。おおむね日本では主観的面での満足度が低く、統計による客観的数値は高い傾向がみられます。例としてあげられるのが、暴行殺人などの犯罪率です。日本ではそれらの犯罪は極端に少ない。安心度では日本は10点満点中「9.7」とトップ。ところが夜の路上で不安を感じるひとは 35%。世界平均値の 26%を大幅に上回っています。
 所得と資産のギャップについては、勤労世代と引退世代の豊かさのギャップという見方があります。ローンで不動産を購入した若壮年層は、教育費の重圧もあり可処分所得は少ない。それらをクリアしてしまった引退世代は身軽ではあるが、老年の仲間入りが近いわたしなど、蓄えも自宅不動産も堅実な収入も確保されていません。困ったものです。
 そして仕事と生活の調和「ワークライフバランス」については、日本はトルコ・メキシコについでワースト3位。年間労働時間が平均以下でも、決して時間や生活調和にも恵まれていない実情があるようです。

 さてこれらの評価をどう読み解くべきでしょうか。かつての日本なら、ほとんどの指数が平均を大幅に上回り、主観的な満足度でも平均以下ではなかっただろうと思います。失われた20年、日本の実力は低下し、それ以上に日本人が自信や安心安定感を失ったのではないか。そのようにも感じます。

○ 参考:OECD加盟34カ国
オーストリア・ベルギー・カナダ・デンマーク・フランス・ドイツ・ギリシャ・アイスランド・アイルランド・イタリア・ルクセンブルク・オランダ・ノルウェー・ポルトガル・スペイン・スウェーデン・スイス・トルコ・イギリス・アメリカ合衆国・日本・フィンランド・オーストラリア・ニュージーランド・メキシコ・チェコ・ハンガリー・ポーランド・韓国・スロバキア・チリ・スロベニア・イスラエル・エストニア <2011年11月28日>
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