ふろむ播州山麓

京都山麓から、ブログ名を播州山麓に変更しました。本文はほとんど更新もせず、タイトルだけをたびたび変えていますが……

犬がみた日本史 <ワンコの物語7話>

2011-11-01 | Weblog
 イヌとヒト、共生のはじまりはずいぶん古い。世界史上、最初の家畜は犬でした。日本列島でもっとも古い犬の骨は、おおよそ一万年前のもの。縄文時代の犬の死骸は、ていねいに埋葬されていました。人間が犬を友として、あるいは家族の一員として大切に扱ったであろうことがしのばれます。
 人間と犬との出会いは、数万年前にさかのぼるといわれています。食料を求めて移動する人間集団のまわりを、野生のイヌたちがうろついていました。イヌたちがもつ感覚は鋭い。夜間、人間が寝静まっているときでも、その研ぎ澄まされた能力で外敵の侵入に気づきます。犬たちがいることで、人間は安心して眠りにつくことができたのです。せめてものお礼に、人間は犬たちに食べ残した食料を与えました。犬の家畜化のはじまりはこのように説明ができると、わたしは考えています。
 人間のパートナーになった犬たちははじめ、番犬として人と対等の位置にありました。その後は勇敢な猟犬として、人間に大きな食の恵みをもたらすことになります。

 ところが二千数百年前からの弥生時代、当時の人は犬をしきりと食べています。犬を大切に遇した縄文時代の慣習は、突然すたれたのです。食犬の習俗はその後も長く続きます。海外をみると、いまも中国や朝鮮半島には犬肉料理店があります。犬の肉を食う食わないという文化の違いはなぜなのでしょう。

 昔話の「花咲爺」は有名ですが、これとそっくりな話が中国の西南部、雲南高地あたりにもあります。「三回廻ってワン」も同じ地に、実際の行動として残っています。日本文化の故郷ともよばれるこの地方ですが、犬からみても奥が深い。

 ずいぶん前に、犬と人間の長い付き合いを、「犬からみた日本列島史」あるいは「犬がみた東アジア史」として捉えたいと思ったことがあります。「犬」字をなぜ「いぬ」と読むのか? 犬印の腹帯、赤子の額に書く「犬」字や「×」字のこと。犬神という迷信、犬を自分たちの先祖とする「犬祖神話」や、さまざまの犬伝説や民話…。
 十数年前にいろいろと犬関係の本を読み、資料もそれなりに集めましたが、本棚の隅に積み上げていました。ホコリが積んでいます。
 ところが愛犬の失踪事件を機に、いまそれらを引き出しました。パラパラと眼を通していると、「やっぱり調べてみようか」という気になります。しかし十年以上も経過しています。最近の本も読んでいません。ゆっくり調べ、考え、書いてみようか。いずれにしろ、たいそうなテーマにチャレンジしようとしています。相変わらず無謀なわたしです。
<2011年11月1日>
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