映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

伊豆の踊子(1974)

2018年04月12日 | 映画(あ行)

純情な初恋

* * * * * * * * * *


えーと、最近WOWOWで「山口百恵特集」をやっていて、山口百恵文芸シリーズの5本を放映していたんだね。
はい、当時特別なファンだったわけではなくて、どれも見てはいなかったので、
この際懐かしさもあって見てみました。
それでこのシリーズは私達の出番というわけなのね。
そういうこと!

で、当時って言うけど、一体いつ?
はい、本作が1974年。
その後この文芸名作シリーズは立て続けにポンポンと出ます。
百恵ちゃんのデビューが1973年。
引退が1980年なので、この映画はうんと初期のものということになるね。
百恵ちゃんは15歳か・・・。
だからこそ、「伊豆の踊子」ということなんだなあ・・・。

川端康成原作「伊豆の踊子」。
大正末期。
天城に向かう山道を行く一高生・川島(三浦友和)は、旅芸人の一行と出会います。
彼らは三味線や太鼓、歌、踊りで温泉場の料理屋や旅館の客を相手にしているのです。
その中で、かおる(山口百恵)というまだあどけなさの残る踊り子に目を奪われた川島は、
彼ら一行と行動をともにすることにします。

特別に大きな事件があるわけではないよね。
ただ学生が旅芸人と旅をして、初々しい踊り子を見初めて、
ほんの少し心を通わすけれども、特に何もなく別れの時が来る、と。
けれど、旅の途上という事情もあるけれど、川島には何もかもが新鮮なんだな。
特にあの名シーン、川島とかおるの兄が温泉につかっていると、
向かいの共同風呂に入っていたかおるが素っ裸のまま飛び出して
こちらに向かって大きく手を振る・・・。
まだ子供のままで、無邪気な少女・・・。
だからこそ、汚れない純粋さが引き立つんだよね―。
そして、当時の社会のようすがまたくっきりと現れる。
学生は学生というだけで敬われてしまう存在なんだね。
だけど旅芸人というのは、並み以下の扱い。
「芸人は通るべからず」なんていう立て札が村の入口に立っていたりするのね。
だから行動はともにするけれども宿泊する旅館は別々。
学生さんを好きになったとしても、決して報われることなどないとわかっている一行のおかみさんは、
あえてかおると川島を引き裂こうとする・・・。
いやいや、わざわざ邪魔しなくたって、純情な二人のこと、どうなるものでもなかったでしょうにね・・・。
ま、そうだけど、それくらいしないと小説にならないじゃん。
ま、そういうことか。
なんと言っても瑞々しい主演の2人。
もうそれだけで十分な作品ではあるね・・・。
それとね、中山仁さんがカッコイ~!
最近テレビではお目にかからないけれど・・・
素敵だったよねえ・・・。
これもまた、満足。

伊豆の踊子 [DVD]
堀威夫,笹井英男,若杉光夫
ホリプロ



<WOWOW視聴にて>
「伊豆の踊子(1974)」
1974年/日本/82分
監督:西河克己
原作:川端康成
出演:山口百恵、三浦友和、中山仁、佐藤友美、一の宮あつ子
踊り子度★★★★★
満足度★★★☆☆