映画と本の『たんぽぽ館』

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ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

2018年04月03日 | 映画(あ行)

女性だからこその決断

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1971年。
ベトナム戦争を分析・記録した国防省の最高機密文書(ペンタゴン・ペーパーズ)のコピーをワシントン・ポスト紙が入手。
この文書が明るみに出れば、米国のベトナム戦争の戦局がかなり良くないことを
政府が隠蔽していたことが明らかになってしまいます。
ポスト紙の社主キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は、
編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)らと共に、
記事を差し止めさせようとする政府の圧力と対峙することになります。
真実を記事として出すか、断念するか・・・。
決断のときが迫ります。

戦局の悪化を隠蔽・・・。
日本だけではなくアメリカでもそういう事があったのですね。
どこの国も同じ・・・。



さて、キャサリンは亡くなった夫の後をついで社主となったわけですが、
常のメリル・ストリープの役には珍しく、自信なさげです。
重役たちや対外的にも、どこか軽んじられている。
それこそがこの時代性というわけですね。
女性の社会進出はまだわずかで、
単に名前だけ貸してくれればいいと、周囲は思っていたのだろうと伺えます。
でも、それにしては最後の決断のときにだけ、
彼女にすべてを委ねようとするのはなんだかずるい気もしますけれど。



私、最後の決断は女性だからこそできたのではないかと思うのです。
男性は社会の中の自分の位置を非常に大事にします。
けれども、女性はそんなことにはほとんど頓着しません。
もしここで失敗して社主の地位を失うとしても、ただの主婦に戻るだけ。
だから私、女性は男性より「正義」に対して真っ直ぐなのだと、常々思っております。
それなので、キャサリンは最後の決断を意外とあっさりと決めたではありませんか。
うん、そうでなくては。

それにしても、政治権力が情報操作をしたり報道の自由を阻害したりすることの恐ろしさ・・・。
どこかの独裁国家の話ではありません。
アメリカでさえこうなのだから・・・。
私達はじっくり心しなければなりません。
気がついたときは手遅れになったりしないように。



<ディノスシネマズにて>
「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」
2017年/アメリカ/116分
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:メリル・ストリープ、トム・ハンクス、サラ・ポールソン、ボブ・オデンカーク、トレイシー・レッツ
重大な決断度★★★★☆
国家機密度★★★★★
満足度★★★★☆