映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

百円の恋

2015年01月23日 | 映画(は行)
安藤サクラさんに拍手!!



* * * * * * * * * *

実家で引き籠もり生活をしていた32歳、一子(安藤サクラ)。
離婚して出戻ってきた妹と大げんかをし、家を出て一人暮らしを始めます。
100円ショップの深夜勤務の職についた一子。
その帰り道のボクシングジムで、
寡黙に練習を続ける中年ボクサー・狩野(新井浩文)が、何故か気にかかります。
やがて一子は自らもボクシングを始めますが・・・。



山口県の周南映画祭、松田優作賞第一回グランプリを受賞した脚本。
あ、ちゃんとこんなに地味~な脚本を評価する賞もあるのですね。
ちょっと安心しました。
はじめの方の一子のダラダラぶりがなかなか振るっています。
(私、なんとなく北大路公子さんを思い出してしまった・・・、
キミコさん、ごめんなさい!!)。
初めて狩野にデートに誘われた時も「なんで私を?」と問えば
「断らなさそうだったから」との答え。
そんな風で、彼女自身全く自分に自信がなく、
自分自身の値段もショップの品と同じ「100円」と思っているのです。
そんな彼女が、ボクシングに打ち込む男の姿をちょっといいなあ・・・と思い、
戦う物同士だけに通じ会う共感のようなものに憧れ、
ボクシングを始める。
プロ資格テストを受けることができる上限の32歳で。



いやそれにしても、安藤サクラさんに拍手!!
始めはどうなることかと思いましたが、
後々のトレーニングを積んだ一子のなんとカッコイイこと。
動きのキレがいいし、体もビシッと引き締まって・・・!!
実際に相当練習したのでしょうねえ。
この役はオーディションだったそうで、
この役をやりたいというガッツがまた、スゴイと思います。





練習を積むだけそれが自分の力になる。
そういう確かさが、自信となっていったような気がします。
誰からも認められない100円の一子が、
周りの人々に認められ、自分の存在を肯定できるようになっていく。
それまでバカにしていた周りの眼の色も変わってきます。
勝ち負けではなく、どれだけ力を尽くせたか、
そういうところがみなにも伝わって、ステキな物語になりました。


「百円の恋」
2014年/日本/113分
監督:武正晴
脚本:足立紳
出演:安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平
変身度★★★★★
満足度★★★★☆