映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

雨よりせつなく

2014年11月03日 | 西島秀俊
確かに切ない

* * * * * * * * * *

西島作品、まだ、見ていないのがちゃんとありましたね~。
 西島秀俊さんの見せ所たっぷり。
はい。・・・まあ、映画の出来は別にして・・・ね。
おっと、先にそれをいうのか・・・。


おほん、主役となるのは27歳、広告代理店マーケティング部に勤務する綾美(田波涼子)。
 まあ、仕事はやりがいがあって面白い。
 結婚よりも仕事に生きようかなあ・・・などと思い始めてもいる。
 そんな時、同じ会社に勤める倉沢(西島秀俊)と親しくなり、
 付き合い始めるのだけれど・・・。
彼には学生時代に付き合っていた彼女がいたのだけれど、
 一緒のドライブで彼女を事故死させてしまったという重く悲しい事情を抱えていたのでした・・・。
綾美は人の痛みがわかりすぎるというか・・・
 決して無理やり倉沢の心に割り込んでいこうとはしない。
そこがいいところではあるのだけれど、やっぱりじれったい部分でもあるね・・・


二人が少しずつ打ち解けていくシーンは好きだなあ・・・。
この会社のオフィスは、ちょっと古いレトロなビルの中にあるんだね。
雰囲気あります!!
で、カップラーメンの自販機のところで、いつも二人は合う。
ちょうど綾美のところで、割り箸が切れてなくなっちゃうんだけど、
 倉沢が自分の割り箸の一本を差し出すんだね。
私は一本で食べろっていうのかい?
 って、一瞬思っちゃったです・・・。
 頭固いな。
一本を半分に折って、かなり短いけどちゃんとお箸として使ったわけね。
 二人とも。
そんなことがあって、なんとなく二人、意識し始めるわけ。
そりゃもう、西島秀俊さんとお箸を分けあってカップ麺を一緒に食べるなんてことしたらさ、
 ぽ~っとならないわけがないじゃない!!


けどねえ・・・
 倉沢は、ホントにそんなに学生時代の彼女を愛していたのかな?
その時はそうだったと思うけれど、10年もたった今となれば
 それはもう単なる罪悪感のようにも思える。
 そのまま付き合っていればとっくに終わった恋だったかもしれない・・・。
けれど、死によって永久に終わることのできない恋になってしまったんだなあ・・・。
こんな時には強引に割り込むのもありだと思うけどなあ・・・。
いや、これは綾美のせいというより、
 やっぱり、一歩を踏み出せない倉沢のせいなんじゃないか。
あの日倉沢は、これまで一本ずつ買っていた亡くなった彼女への花を
 束で買ったでしょう?
 私は彼が、これを最後にしようと思ったからだと思ったんだよね。
だけど綾美は、彼が彼女のことを今も深く愛していて、忘れられないのだと解釈した。
 どっちだったんだろうね?
最後にしようと思っていたんなら、いくらなんでも綾美にそう説明したんじゃないかな?
いや、そこがこの男の煮え切らないところでさ。
 そういうふうに誤解されたんなら、それでもいいや、って思っちゃたようでもある。
う~ん。・・・どっちでもいいけど、
 そこまでリアリティを追求するような作品でもなし。
 こういうのはやっぱり最後の最後、彼の方から綾美を呼び止めて欲しかったと思うわけ。
 いいじゃないの。安直なラストだって。
だよね~。
自分で踏み出しもせずに、ただ切ながってるのはダメだよ。
まあでも、題名が「雨よりせつなく」だからね・・・

雨よりせつなく [DVD]
吉元由美,飯田健三郎,森下佳子
バンダイビジュアル


「雨よりせつなく」
2004年/日本/89分
監督:当摩寿史
原作:吉元由美「いつもなら泣かないのに」
出演:田波涼子、西島秀俊、黒坂真美、深浦加奈子
西島秀俊の魅力度★★★★☆
エピソード性★★★☆☆
満足度★★☆☆☆