予測不能、森絵都ストーリーの「道の向こう」
* * * * * * * * * *
思わぬ幸せも、不意の落とし穴もこの道の先に待っている。
どこから読んでも、何度でも、豊かに広がる10の物語。
誰もが迎える、人生の特別な一瞬を、鮮やかにとらえる森絵都ワールド。
* * * * * * * * * *
森絵都さんの短編は大好きです。
題材も、展開の仕方も、そしてオチの部分も、
他にはないひらめきが感じられ、どれも鮮烈です。
本巻も、また、然り。
冒頭「藤巻さんの道」
『道の向こう』という写真集が登場します。
ベルンハルト・M・シュミッツというドイツ人カメラマンによるこの写真集は、
すべてが「道」の写真ばかりなのですが、実に様々。
山の道、みどりの中の道。
花畑の道。荒野の道。
「僕」は、人がどの道を好きかを聞くのを楽しみにしています。
それを聞くとその人の人生観がわかるような気がするので。
それで、ある日、とても優秀な職場の同僚、藤巻さんに訪ねてみた。
「どの道が一番好き?」
彼女が選んだのは、意外にも荒野の中の、寂しくすさんだ道。
なぜこんな道を彼女は選んだのか。
彼女の中のいったい何がこの道を選ばせるのか。
全く予想もつかない答えがありました。
う~む、思わず唸ってしまいます。
実は、私、この写真集を持っていまして、本当に大好きなんですよ!!
人を何処かへ導くための道。
どこかで見たことがあるような、いつか歩いてみたいような・・・。
本作を読んで、久しぶりに引っ張りだしてみましたが、やはり、いい。
私の一番のお気に入りは?
さて、いくつかはあるけれどどれが一番かは、もう少し考えてみよう。
とにかく本作、そんなわけで
なんだかとても親しみが持ててお気に入りです。
「ぴろり」
一人旅の「私」に、何故かある車の運転手が話しかける。
「もしよかったら、一緒にドライブでもいかがですか」
・・・ナンパの話?と思いきや、
これまた実に意外な展開。
というかネタバレしたくないので詳しくは書きませんが、
森絵都さんもこういう話を書くんだ・・・と思う次第。
「桂川里香子、危機一髪」
実にラストが爽快!!
表題作「異国のおじさんを伴う」
題名だけでは、意味がよくわかりませんね。
異国のおじさんというのは実は"ひげ人形"で・・・、
というとますますわからなくなる。
オーストリアの民芸品に"ひげ人形"というのがあるのです。
「私」は"ひげ人形愛好会"から招待を受け、オーストリアのリンツを訪れる。
そこで待っていたのは・・・
ラッキーなのか、アンラッキーなのか。
しかし、彼女は「何か」を取り戻すのですね。
印象に残るストーリーです。
その巨大なひげ人形を観てみたい・・・。
「異国のおじさんを伴う」 森絵都 文春文庫
満足度★★★★★
異国のおじさんを伴う (文春文庫 も 20-7) | |
森 絵都 | |
文藝春秋 |
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思わぬ幸せも、不意の落とし穴もこの道の先に待っている。
どこから読んでも、何度でも、豊かに広がる10の物語。
誰もが迎える、人生の特別な一瞬を、鮮やかにとらえる森絵都ワールド。
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森絵都さんの短編は大好きです。
題材も、展開の仕方も、そしてオチの部分も、
他にはないひらめきが感じられ、どれも鮮烈です。
本巻も、また、然り。
冒頭「藤巻さんの道」
『道の向こう』という写真集が登場します。
ベルンハルト・M・シュミッツというドイツ人カメラマンによるこの写真集は、
すべてが「道」の写真ばかりなのですが、実に様々。
山の道、みどりの中の道。
花畑の道。荒野の道。
「僕」は、人がどの道を好きかを聞くのを楽しみにしています。
それを聞くとその人の人生観がわかるような気がするので。
それで、ある日、とても優秀な職場の同僚、藤巻さんに訪ねてみた。
「どの道が一番好き?」
彼女が選んだのは、意外にも荒野の中の、寂しくすさんだ道。
なぜこんな道を彼女は選んだのか。
彼女の中のいったい何がこの道を選ばせるのか。
全く予想もつかない答えがありました。
う~む、思わず唸ってしまいます。
実は、私、この写真集を持っていまして、本当に大好きなんですよ!!
人を何処かへ導くための道。
どこかで見たことがあるような、いつか歩いてみたいような・・・。
本作を読んで、久しぶりに引っ張りだしてみましたが、やはり、いい。
私の一番のお気に入りは?
さて、いくつかはあるけれどどれが一番かは、もう少し考えてみよう。
とにかく本作、そんなわけで
なんだかとても親しみが持ててお気に入りです。
道のむこう | |
ベルンハルト・M. シュミッド,Bernhard M. Schmid,アイディ | |
ピエブックス |
「ぴろり」
一人旅の「私」に、何故かある車の運転手が話しかける。
「もしよかったら、一緒にドライブでもいかがですか」
・・・ナンパの話?と思いきや、
これまた実に意外な展開。
というかネタバレしたくないので詳しくは書きませんが、
森絵都さんもこういう話を書くんだ・・・と思う次第。
「桂川里香子、危機一髪」
実にラストが爽快!!
表題作「異国のおじさんを伴う」
題名だけでは、意味がよくわかりませんね。
異国のおじさんというのは実は"ひげ人形"で・・・、
というとますますわからなくなる。
オーストリアの民芸品に"ひげ人形"というのがあるのです。
「私」は"ひげ人形愛好会"から招待を受け、オーストリアのリンツを訪れる。
そこで待っていたのは・・・
ラッキーなのか、アンラッキーなのか。
しかし、彼女は「何か」を取り戻すのですね。
印象に残るストーリーです。
その巨大なひげ人形を観てみたい・・・。
「異国のおじさんを伴う」 森絵都 文春文庫
満足度★★★★★