映画と本の『たんぽぽ館』

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「海街diary 4 帰れないふたり」 吉田秋生

2011年09月03日 | コミックス
ヒマラヤのツル?

海街diary 4 (flowers コミックス)
吉田 秋生
小学館


            * * * * * * * *

待望の第4巻です。
三人姉妹が4人姉妹となって、二度目の秋。
古都鎌倉で息づく、それぞれの生活と恋。


この巻では、すずと風太がいい感じになっていきますね。
といってもまだ中学生。
どっちも不器用で初初しくて、読者私としてはもう、うれしくてしかたありません。
誕生日にクリスマス・・・。
何をプレゼントすればいいのかな?
はい、どうぞ悩んでください。
そういうのがいいんです!

以前すずがちょっぴりあこがれていた多田君は、
彼女がいるだけあって、風太に正しいアドバイスをくれます。

「女の子」が好きなものじゃなくて、「浅野」が好きなものは何なんだよ。
ネックレスとか、浅野がそういうちゃらちゃらしたもの付けているのは見たことがないし、
第一そういうのは重いよ。


友人の将志は、「えっ、重いって、500グラムとか・・・?」
こんな奴にアドバイスを求めてはいけません。
それで、この二人が結局どんなものをプレゼントにしたのか。
それは、とても中学生らしく慎ましくてかわいらしいもの。
そしてちょっぴり二人の気の合うところも見えて、ステキです。
にくいよ、この!!


一方、年が近いだけあって、反発し合うことも多い、上の二人、幸と佳乃。
それぞれ「愛の旅人」と「愛の狩人」と呼ばれています。
本巻では、この二人にそれぞれ新しい恋が生まれたのや否や、
微妙なところではありますが、
喜ばしいことでもあります。
今度は妻子持ちでも高校生でもなく、いいんじゃないでしょうか。
クリスマスイブに居酒屋で皆が鉢合わせ。
これもまた一興であります。


そしてまた今回うれしかったのは、
かねてよりの謎、変人と呼ばれる三女、千佳さんの視線の先にあるものが見えたところです。
千佳さんの好みのタイプは「ヒマラヤのツル」みたいな人。
・・・ということで全く意味不明だったのですが、
ちゃんとその意味がわかるようになっていました。
そもそもヒマラヤにつるなんていないじゃん、と思うあなた。
ヒマラヤ山脈の高所を飛び越えて渡る鶴がいるそうですよ・・・。


この街に暮らして2年目になるすずちゃんの目を通して、
姉妹やサッカーチームの友人たちだけでなく、
付近の人、お店の人・・・いろいろな交流の輪が広がって行く。
期待にそぐわず、楽しい一冊でした。
また次が待ち遠しい・・・。

「海街diary 4 帰れないふたり」吉田秋生 小学館フラワーコミックス
満足度★★★★★