映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

007/ダイヤモンドは永遠に

2011年09月04日 | 007
200万ポンドのダイヤの行方

ダイヤモンドは永遠に (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
ショーン・コネリー,チャールズ・グレイ,ジル・セント・ジョン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


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007第7作ですが、前作のジョージ・レーゼンビーはそれきりとなり、
またショーン・コネリーのカムバックです。
何だかホッとしてしまうのだけれど、そのショーン・コネリーの前作「007は二度死ぬ」のはちゃめちゃさを幾分引きずっていますね・・・。
そうなんだな。こうしてみると、「女王陛下の007」は、とても良質・正統派の落ち着いた作品でした。
ジョージ・レーゼンビーで損をしちゃった・・・。


まずこの作品、冒頭でいきなりスペクター首領ブロフェルドを
ボンドが自らの手でこの世から葬り去る。
ひゃー、今までの苦労はなんだったの?というあっけなさなんだけど・・・。
まあね。で、早々にボンドの次なる任務。
ダイヤモンドの密輸組織の捜査なんだね。
200万ポンドものダイヤモンドの行方を捜す・・・ということで
今回の舞台はアメリカのカジノ。
でもねえ、これは単に巨額の富を得ようという企みではなくて、もっとすごい。
ダイヤモンドを利用したレーザー光線で世界征服を企むという、スケールの大きな話・・・。
しかし、この辺りは割と近代的といいますか、何だか本当にありそうなことになってきたね。
人工衛星からのレーザー攻撃・・・。
女の目で見ると、ダイヤモンドはやはり装飾品なんだけど、
こうして兵器としての利用価値…なんていうところは、虚を付かれた感じで、面白かったなあ。
でね、作品では、このレーザー光線で世界各地の軍事基地を破壊するんだよね。
どうせなら、本当に世界中の軍事基地と兵器の生産工場を
全部破壊してしまえば良かったのに、なんて思ったりして。
ははあ・・、でもそうすると本当に世界中の驚異は、
このレーザー光線の持ち主だけということになって、
それこそ世界征服を果たしちゃうことになるよ・・・。
それもそうだね。
まあ、そうなってから007氏が登場して、敵をかたづければよろしい・・・。
それから、ボイスチェンジャーみたいなマシンが出てきたね。
コナン君を思い出しちゃったよ。
声だけでも人になりすます、というのはちょっと便利なんだな。


あと、何となく引っかかりを覚えるのは、いかにも敵の詰めが甘い。
ボンドをあわやという目に遭わせておきながら、どうしても息の根を止められない。
ここで銃を使えば一発なのに、どうしてそこで回りくどい手を使うのかとあきれてしまう。
棺桶に入れて火葬にしようとしたり、
地下の埋設タンクで生き埋めにしようとしたり、
単身乗り込んだ彼に、わざわざ基地を案内して見せたり・・・。
「ここでボンドが死んでは、ストーリーが続かないから」という理由しか思い当たらない。
実にご都合主義で、子どもだましという気がする・・・。
ボンドは女性も思いきりひっぱたくし、
ブロフェルドの猫を蹴飛ばしたりもする。
あんまり紳士じゃないなあ・・・。


という辺りで、ショーン・コネリー路線も、戻ってみればやはり難が見えてきて・・・、
何とか新機軸にしたかったのかもしれないね。
次作からまた主役交代でロジャー・ムーアとなります!

1971年/イギリス/120分
監督:ガイ・ハミルトン
出演:ショーン・コネリー、チャールズ・グレイ、ジル・セント・ジョン、ラナ・ウッド