巨大なテクノロジーとメデイアを駆使する新自由主義ファッシズム 第2回
序(2)
2004年4月8日ボランティア活動家の高遠菜穂子さん、フリーカメラマンの郡山聡一郎さん、フリーライターのいまい紀明さんがヨルダンのアンマンからイラクのバクダットに向かう途中で三人の日本人が誘拐され、イスラム戦士軍団を名乗る犯行グループは日本政府に対して自衛隊の撤退を要求し、従わなければ3人をころづという声明を出した。同じく2004年5月27日、フリージャーナリストの橋田信介さんはイラク戦争取材中にバグダッド付近のマハムディヤで襲撃を受け、同行していた甥の小川功太郎とともに殺害された。問題はこの2つの事件を巡る日本政府の態度と新聞の論調である。前者の誘拐された3人に対しては、政府は「自作自演説」を官邸が流し(左翼グループが日本政府を困らせるためわざと捕まった)、暫くたつと「自己責任論」(日本政府は知りません)を展開し、日本のマスコミは被害者家族に対する個人攻撃・誹謗中傷の記事連日流して被害者パッシングに終始した。後者の橋田さんらに対してはマスコミは礼賛一色で「武人」とさえ読売新聞は讃えた。この2つの事件の取り扱いはどうしてこうも180度違うのだろう。それは日本政府の立場によるからだ。政府が困るのは前者であった。1941年1月東条英機陸相は「戦陣訓」で「生きて俘虜の辱めを受けず、死して罪過の汚名を残すことなかれ」を出した。戦争遂行の妨げにならなければよい、死んだら後腐れなく英雄にしてあげるということだ。橋田さんと小川さんの場合は死亡したから国を挙げて讃えられた。この2つのグループはどちらかといえばイラク戦争反対の立場での取材である。もはや思想信条も関係なく、政府や権力者の迷惑になる奴は誰でも叩かれるのだ。橋田さんは自衛隊がイラクで水の供給をしていることについて取材し、実際にはサマワ近辺では水の入手はさほど困難でないこと、フランスのNPOが自衛隊の何倍もの量の水を供給していることをテレビで報告した。自衛隊のイラク派遣に対しても隊員たちの努力は評価しながらも、アメリカ追随とも言える派遣の判断を下した日本政府に対しては批判的にならざるを得ない、と苦しい胸のうちを明かしていたという。
序(2)
2004年4月8日ボランティア活動家の高遠菜穂子さん、フリーカメラマンの郡山聡一郎さん、フリーライターのいまい紀明さんがヨルダンのアンマンからイラクのバクダットに向かう途中で三人の日本人が誘拐され、イスラム戦士軍団を名乗る犯行グループは日本政府に対して自衛隊の撤退を要求し、従わなければ3人をころづという声明を出した。同じく2004年5月27日、フリージャーナリストの橋田信介さんはイラク戦争取材中にバグダッド付近のマハムディヤで襲撃を受け、同行していた甥の小川功太郎とともに殺害された。問題はこの2つの事件を巡る日本政府の態度と新聞の論調である。前者の誘拐された3人に対しては、政府は「自作自演説」を官邸が流し(左翼グループが日本政府を困らせるためわざと捕まった)、暫くたつと「自己責任論」(日本政府は知りません)を展開し、日本のマスコミは被害者家族に対する個人攻撃・誹謗中傷の記事連日流して被害者パッシングに終始した。後者の橋田さんらに対してはマスコミは礼賛一色で「武人」とさえ読売新聞は讃えた。この2つの事件の取り扱いはどうしてこうも180度違うのだろう。それは日本政府の立場によるからだ。政府が困るのは前者であった。1941年1月東条英機陸相は「戦陣訓」で「生きて俘虜の辱めを受けず、死して罪過の汚名を残すことなかれ」を出した。戦争遂行の妨げにならなければよい、死んだら後腐れなく英雄にしてあげるということだ。橋田さんと小川さんの場合は死亡したから国を挙げて讃えられた。この2つのグループはどちらかといえばイラク戦争反対の立場での取材である。もはや思想信条も関係なく、政府や権力者の迷惑になる奴は誰でも叩かれるのだ。橋田さんは自衛隊がイラクで水の供給をしていることについて取材し、実際にはサマワ近辺では水の入手はさほど困難でないこと、フランスのNPOが自衛隊の何倍もの量の水を供給していることをテレビで報告した。自衛隊のイラク派遣に対しても隊員たちの努力は評価しながらも、アメリカ追随とも言える派遣の判断を下した日本政府に対しては批判的にならざるを得ない、と苦しい胸のうちを明かしていたという。
(つづく)