最高裁判所事務総局の司法官僚 第4回
では裁判官とはどういう人達なのか。簡単にキャリアーをいうと、大学の法学部を卒業し(在学中)司法試験に合格して、1年半の司法研修を受け、弁護士・検事・判事の道のひとつである判事を選んだ人達である。日本の裁判官の数は先進国では極めて少ない。10万人当たりの裁判官数は、ドイツが24人、アメリカ10人、イギリス7人であるのに対して日本は2人である。日本の判事は3500人いる。そして常時300件の事件を担当している超多忙な職種である。一週間に3日法廷を開いている。そして「転勤族」で3または5年で転勤を繰り返すので、自宅を持つ人はいない。地域の人と付き合わないことや繁華街には出かけない一般交通機関を利用しないという隔離された人種である。職業倫理意識の高い人で、権威を強く意識する人である。裁判官は司法研修所をおえて「判事補」として任官し、殆どの人は10年後に判事に昇格する。ここで一人前である。判事の任期は10年で、再任のための裁判官評価が行われる。判事の俸給は1号から8号の8段階で上がってゆく。再任制度と俸給号制度が判事のサラリーマン化であり、心理的に種々の統制を受けるようである。戦後日本の司法は、戦前の司法省という行政支配を脱し、最高裁判所を頂点とする独立した組織である。独立した組織である以上、強大な権限を持つ司法行政機構である最高裁事務総局を持っている。本書は①裁判官を統制する「司法官僚」の存在を明らかにし、②その「司法官僚」のキャリアーパスを見て「エリート選別方式」を明らかにし、③そして人事政策と裁判の実質である裁判内容に司法官僚の統制の実態を見て、④最後に「市民参加」のために必要な司法改革を考えようとする。
(つづく)
では裁判官とはどういう人達なのか。簡単にキャリアーをいうと、大学の法学部を卒業し(在学中)司法試験に合格して、1年半の司法研修を受け、弁護士・検事・判事の道のひとつである判事を選んだ人達である。日本の裁判官の数は先進国では極めて少ない。10万人当たりの裁判官数は、ドイツが24人、アメリカ10人、イギリス7人であるのに対して日本は2人である。日本の判事は3500人いる。そして常時300件の事件を担当している超多忙な職種である。一週間に3日法廷を開いている。そして「転勤族」で3または5年で転勤を繰り返すので、自宅を持つ人はいない。地域の人と付き合わないことや繁華街には出かけない一般交通機関を利用しないという隔離された人種である。職業倫理意識の高い人で、権威を強く意識する人である。裁判官は司法研修所をおえて「判事補」として任官し、殆どの人は10年後に判事に昇格する。ここで一人前である。判事の任期は10年で、再任のための裁判官評価が行われる。判事の俸給は1号から8号の8段階で上がってゆく。再任制度と俸給号制度が判事のサラリーマン化であり、心理的に種々の統制を受けるようである。戦後日本の司法は、戦前の司法省という行政支配を脱し、最高裁判所を頂点とする独立した組織である。独立した組織である以上、強大な権限を持つ司法行政機構である最高裁事務総局を持っている。本書は①裁判官を統制する「司法官僚」の存在を明らかにし、②その「司法官僚」のキャリアーパスを見て「エリート選別方式」を明らかにし、③そして人事政策と裁判の実質である裁判内容に司法官僚の統制の実態を見て、④最後に「市民参加」のために必要な司法改革を考えようとする。
(つづく)