ブログ 「ごまめの歯軋り」

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北朝鮮、人工衛星かミサイルか?

2009年03月13日 | 時事問題
朝日新聞 2009年3月13日3時2分
北朝鮮「4月4~8日に発射」 日本列島飛び越える軌道
 【ソウル=牧野愛博】北朝鮮が打ち上げ準備を進めている「人工衛星『光明星2号』を運ぶロケット『銀河2号』」は、日本海側に向けて発射され、日本列島を飛び越える軌道を予定していることが分かった。打ち上げの時期は、4月4日から8日までの間としている

人工衛星かどうかはNASAに聞けばすぐ分るはず?
 前回テポドン打ち上げの時も北は人工衛星といっていた。もし人工衛星なら今も廻っているはずで衛星の軌道などはNASA、もしくはMASDAが把握しているはず。ミサイルなら落ちてしまえば何も残らない。どちらなんですか。人工衛星だったのかミサイルだったのか。また打ち上げロケットの形式と軌道を見ればその区別は専門家ならすぐ分るはず。北朝鮮は人工衛星にしたい、米韓日はミサイルにしたい気持ちは分るが、科学的に白黒は極めて明白なはずだが、専門家の発言がないのは不思議極まりない。 

環境問題 モード・バーロウ、トニー・クラーク著「水戦争の世紀」 集英社新書

2009年03月13日 | 書評
水資源は共有財産であって商品ではない 第13回

第2部:グローバル水企業の策略 (4)

 これら世界的な水企業は国際貿易条約と世界金融機関とのグローバルな結びつきを深めている。グローバル資本の智慧者の常套手段、特に開発途上国の資金不足に付け込んで商売を有利に展開する搦め手口は明らかにしておくべきである。1998年世界銀行はボリビア政府に、コンチャバ市が公営水道を民営化した経費を企業ではなく消費者に負担させないと再融資は出来ないと脅しをかけた。民間企業の独占権と、新しい価格設定を行うこと(値上げ)、経費を米ドル建てに、世銀の借入金を貧困者への水道料金補助金に廻さないよう、実に微にいり細にいり指示している。融資銀行が企業に取締役を派遣しているようなものである。ここでも政府権限は大きく後退し、世銀は国家主権への干渉を平気で行っている。1980年以来、世界銀行とIMFは再融資と債務返済の条件として、第三国世界に「構造調整プログラム」SAPsを押し付けている背景がある。近年は公営水道と衛生設備の民営化が世銀とIMF融資の条件になっているのだ。水企業に有利な世銀の政策決定を導くために、企業の業界組織による政治操作・ロビー活動の仕組みを見て行こう。1992年に開かれた二つの会議がすべての始まりであった。ダブリンで開かれた「水と環境に関する国際会議」、リオデジャネイロで開かれた地球サミット「環境と開発に関する国際会議」は次の3つの機関を生んだ。「世界水パートナーシップ」、「世界水会議」、「21世紀に向けた世界水委員会」がそれである。表向きは中立的な政府・学者の会議のように見えるが、本質は水資源の開発を可能とする仕組みを考え得る会議である。世界「会議」は「懐疑」的に見て行かなければいけない。必ず智慧者に企みが隠れているはずだ、一番的確な見分け方は資金のスポンサーを聞き出すことである。2つは業界エージェントと思しき人間を調査することである。役人・学者の仮面をかぶっているかもしれない。そのために経歴を洗う必要がある。グローバルな水企業の代表者エージェントは、戦略的な見地から上記3機関の上層部に席を占めているのだ。さらに手口が巧妙化しているのがNGOである。後ろで誰が支配しているか、金を出しているかで政府系NGOや企業系NGOも存在するのだ。「発展途上国の貧困世帯の水や衛生状態の改善を目指して支援する」という表看をそのまま信じてはいけない。世界貿易機構WTOとの交渉を有利に進めるための有力なロビー団体、「アメリカ・サービス産業連盟」、「欧州公共サービスフォーラム」が設立された。2大企業スエズとビベンディが主要メンバーである。開発途上国を支援するという名目で、世界銀行とIMFだけでなく地域開発銀行(アジア開発銀行など)のネットワークも重要な役割を果たしている。世銀の傘下に、「国際復興開発銀行」IBRD、「国際金融公庫」IFCなどを通じてアフリカ諸国の水道民営化誘致が行われた。世銀の傘下に「欧州復興開発銀行」EBRD、「アジア開発銀行」ADBもある。IMFは水道民営化を条件に「貧困軽減と成長促進」計画の下に、アフリカの12カ国に融資した。
(続く)



医療問題  「現場からの医療改革レポート」 Japan Mail Media

2009年03月13日 | 書評
絶望の中の希望ー医師は「医療崩壊」の現状をネットに訴える 第38回

特別配信号(2008年10月3日) 「医療事故調 対立の概要と展望」 虎ノ門病院泌尿器科 小松秀樹 

 人は間違うものだと云うことを前提に医療の安全対策と責任追及は切り離すべきと云う趣旨が国際的に主流になっているにもかかわらず、厚生労働省は医療事故調を医師の責任追及の場にしようとする。この「対立の概要と展望」をまとめた。現在医療事故調の厚生労働省案(第2次、第3次試案)を巡って議論が続いている。現実と乖離した「正義」の規範ほど厄介なものはない。「正義」は怒りと攻撃性に満ちている。社会に有害な結果しかもたらさない「正義」の規範から頭の切り替え(パラダイムシフト)が必要だ。

 医療事故調の目的が医療の安全向上なのか過去の責任追及なのかが曖昧なまま、2007年4月より「医療関連死究明の検討会」が前田座長(刑法学者)で開催された。そこで事務局(厚生労働省)の議論は「法的責任追及に活用」で展開され、07年10月第2次試案が出された。「反省、謝罪、責任追及、再発防止」のために原因究明が行われるという。「医師は人命救助のためがんばって結果犯罪者になるのでは医療は崩壊する」という反対意見が多く、修正案の第3次試案となった。医療安全の確保を目的とすると明記しているが、同時に責任追及も行うと云う矛盾した事が書かれている。第3次試案の大きな問題は院内事故調査報告書が個人の処罰に使われるということだ。航空機事故などのように免罪の上事故調査をすることであらゆるヒューマンエラーをあぶりだすと云う趣旨から程遠い。処罰を前提とした調査では真実は隠れるのである。事故調が全てお見通しの神でなければ裁けるものではない。利害関係者は罰を恐れて利害に応じた発言しかしない。舛添厚生労働大臣は第3次案に対して不十分ならさらに検討するといっているが、医政局と不協和音が聞こえる。病院と関係ない開業医の日本医師会は医療報酬改定と絡んで当局と妥協をし第3次案に賛成した。学会、病院の団体は反対である。
(続く)