ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

「いつの世も わが身よければ 人は無視」では困ります

2009年03月09日 | 時事問題
朝日新聞 2009年3月9日3時0分
ホームレス歌人さん返信「連絡とる勇気、ありません」

 本日付の朝日歌壇欄に永田和宏・佐佐木幸綱両氏が選んで掲載された自称ホームレス・公田耕一さんの作品だ。住所がないために投稿謝礼も応援の声も届けることができない無念を託し連絡を求めた朝日新聞2月16日付朝刊(一部地域を除く)の記事を、公田さんは読んでくれていた。
 公田さんは、横浜市中区寿町辺りにいることをあかしている。だが、「強引に捜すべきではない」というのが選者や他の投稿者らの意見だ。今も週1、2回のペースで投稿があり、片道ではあるが朝日歌壇との回路はつながっている。いつか“勇気”がわく日を待とう、という考えだ。

ホームレス歌人の記事を他人(ひと)事(ごと)のやうに読めども涙零(こぼ)しぬ
 
胸を病み医療保護受けドヤ街の柩(ひつぎ)のやうな一室に居る

我が上は語らぬ汝の上訊(き)かぬ梅の香に充つ夜の公園

 

モード・バーロウ、トニー・クラーク著 「水戦争の世紀」  集英社新書

2009年03月09日 | 書評
水資源は共有財産であって商品ではない 第9回

第1部:淡水資源の危機 (3)

 世界の人口の40%は多国間で共有する河川水系に属している。インド、バングラディシュ、インドネシア、シリア、イラク、チェコ、ハンガリー、メキシコなど挙げだしたら切りがないが国際紛争になった例も多い。水不足にいつも悩まされているところでは、水はビジネスになると考え利益を目的とする水取引が始まった。カルフォニアで1992年農家が水利権を売る法案が通過した。これによって買いだめをして「渇水銀行」に貯金をし、渇水期に売り逃げして儲けた人もいるが多くの農民は井戸が枯れた。1997年コロラド河の水市場を開放計画を発表した。水が投機の対象になるとは、石油の先物投機と同じで末がおそろしい。水不足が常態化している第3世界諸国では、水道事業の民営化を条件として世銀やIMFは債務返済の繰延べを約束しているが、これにも恐ろしい罠が待ち受けているのである。 (続く)

医療問題 「現場からの医療改革レポート」 Japan Mail Media

2009年03月09日 | 書評
絶望の中の希望ー医師は「医療崩壊」の現状をネットに訴える 第34回

特別配信号(2008年9月16日) 「日本医師会三分の計」 虎ノ門病院泌尿器科 小松秀樹 


 2008年12月1日より「公益法人制度改革三法」の施行が予定されている。今後5年以内に日本医師会は、公益法人か一般社団法人に移行しなければならない。ところが日本医師会は昨年5月に公益法人化を目指す方針を決めたが、不特定多数の公益に寄与し、公平な参加と第3者の監視が可能で。特定の団体に支配されない組織足りうるのか、何ひとつ改革をせぬまま圧力団体の組織を引きずって行けると思っているのだろうか。そもそも日本医師会は開業医の経済的利益擁護のために活動してきた。日本医師連盟と云うトンネル団体を作って、自民党に政治献金を継続してきた。そして医療費の分捕り合戦である「中央社会保障医療協議会」で開業医の利益を優先した。元会長故武見太朗氏の権謀術数は政治家の間で神通力を有していた時代は確かにあった。しかし社会からは嫌われ者になり、当の自民党からも嫌われた。医療技術の高度化と制度の多岐化専門化によって、医師会はしだいにシーラカンスになって、厚生労働省の各審議会に委員を送り込んでいるものの、論議政策をリードし決定する能力はとうに失われている。むしろ官僚に簡単に誘導されるお偉方にすぎない。そして厚生労働省の政策決定のための道具に成り下がっている。知識と情報を集める能力を欠き、診療報酬改定でさえまともな意見がいえない状況である。医療事故調査委員会設置法案に良く考えもせず賛成してしまったのは最大の汚点である。もはや開業医と病院勤務医の利害が離れているのも関らず、関係団体に相談も無く病院勤務医を苦しめる政策に賛成した。そこで、現在の医師会を公益法人改革時代に向けて、三分することを提案する。開業医の利益代表、勤務医の利益代表を一般社団法人に、そして最期に公益のための医師団体を作る。 (続く)