北林谷榮『九十三齢春秋』岩波書店、2004年
たくさんの映画でこの女優さんの姿、演技は見ました。「キクとイサム」とか「阿弥陀堂便り」とか。舞台では、機会がなく、観ることができなかったのは残念です。
自らの93年の人生を振り返って編んだ本がこの『九十三齢春秋』です。
銀座・大野屋の娘で,本を読み漁った少女時代,宇野重吉によって開花したおばあさん役,自ら子供から大人になる契機だったと語る関東大震災。そこで見た虐殺された朝鮮人の姿。
祖母との触れ合い,演劇人との出会い,それらが強い批判精神で,しかし茶目化も交えて綴られています。おばあさん役では彼女の右に出るものはいないといわれますが,本当のおばあさんの中に入ると「自分をニセ金だと思う」と述懐するあたり,素直な心に胸が熱くなります。
いろいろな所に書かれたものがまとめられた本ですが,編集者も長けた人だと思いました。
この本のつくりは「エッセイ」ですが、北林さんのそれですから「演劇」のカテゴリーに入れました。
たくさんの映画でこの女優さんの姿、演技は見ました。「キクとイサム」とか「阿弥陀堂便り」とか。舞台では、機会がなく、観ることができなかったのは残念です。
自らの93年の人生を振り返って編んだ本がこの『九十三齢春秋』です。
銀座・大野屋の娘で,本を読み漁った少女時代,宇野重吉によって開花したおばあさん役,自ら子供から大人になる契機だったと語る関東大震災。そこで見た虐殺された朝鮮人の姿。
祖母との触れ合い,演劇人との出会い,それらが強い批判精神で,しかし茶目化も交えて綴られています。おばあさん役では彼女の右に出るものはいないといわれますが,本当のおばあさんの中に入ると「自分をニセ金だと思う」と述懐するあたり,素直な心に胸が熱くなります。
いろいろな所に書かれたものがまとめられた本ですが,編集者も長けた人だと思いました。
この本のつくりは「エッセイ」ですが、北林さんのそれですから「演劇」のカテゴリーに入れました。