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コミュ障 動物性を失った人類 

2015-07-26 08:01:47 | 

 「コミュ障」はコミュニケーション障がいの略で、自分の言いたいことはしっかり言うが、他人の話には耳を傾けようとせず、相手の目を見て会話をしないなど、コミュニケーションが成立しえない可能性がある人のことを指します。

 健常者と「コミュ障」の人を脳科学的に考察すると、情報処理回路が、健常者の場合は脳の皮質下回路である動物的回路に基づいていますが、「コミュ障」の人は皮質回路である人間的回路を使用しています。その意味では、「コミュ障」の人の方が進化しているとも判断できます。動物的回路は危機的環境に置かれる場合に作動することが多く、現代のように豊かなかつ安心な社会では脳の働きも変化しているようです。

 また、マイペースでご都合主義者な「コミュ障」の人は、SNSなどの登場で、他人に注目を浴びることに意義を感じやすく、健常者から見ればおかしいことも意に介さず、ネット上に情報提供をする、しても賛同が得られなければ、さらに過激なことをします。

 もう一つの特徴は、細部にはこだわるが、全体を顧みない。本書の表現では、「木を見て森を見ない」傾向にあり、オタク系となりやすい。

 しかし、「コミュ障」の人には、レオナルド・ダビンチ、アインシュタイン、南方熊楠などの天才的業績を残す人が多く、その意味では、彼らを正しく理解し、能力を引き出す社会になることが、世を発展させることにつながります。わたしたちは「愛」を持って、人と接する基本が問い直されているのではないでしょうか?

『コミュ障 動物性を失った人類 正しく理解し能力を引き出す』(正高信男著、講談社ブルーバックス、本体価格800円)

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