立川流の落語家でありながら、もう20冊も本を出されている談慶さん。今年の秋にはわたくし、笑喜転一頁との二人会も神戸新開地で開催予定であり、師匠の本をもっと読んどかなあかんという初々しい思いの下、手に取ったのが本書。この書名通り、わたくしも「人生は終い良ければ」と考えているので、納得の1冊でした。
他の落語家に比較すると、9年に及ぶ長い前座期間があり、忸怩たる思いであったであろう談慶師匠は、談志師匠の教えをコンコンと叩き込まれ、それを最大の長所に変換されています。談志師匠の教え、考えは禅の思想に感じられ、ひとつの事象に出会っても、一局面だけではなく、その本質を突き詰めた先にある、素晴らしい他局面を創出されています。落語のネタそのものもまさにそのように作られ、演じられているので、笑いが生まれるのでしょう。
釈徹宗と対談でも語られていた、当たり前の枠組みではない、「目の前にいる人の枠組みを揺さぶる」仕事を目指せば、明るい展望も開けるでしょう。仕事上は、井戸書店の理念、「感動伝達人」で揺さぶっていきまっせ!
『人生、オチがよければすべてよし!』(立川談慶著、晶文社、本体価格1,600円、税込価格1,760円)