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板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議

2017-02-19 16:27:45 | Weblog

  少子高齢化、格差問題、教育、財政再建など、多くの問題が山積するが、先送りをすることが政権を維持するための得策のようになっています。しかし、これを一刀両断している本書の論述はおもしろい。

 まず、出口治明さんの世の中を見る目は、数字・ファクト・ロジック」です。数字とはデータ、ファクトとはデータに関連する事項や過去の事実、そして、そこから実証的な理論を組み立てるロジックを駆使しておられます。それによると、日本は1940年体制のままであり、戦後の国造りはアメリカを目標に経済発展に邁進する高度経済成長で、「人は何も考えず、言われた通りに働くだけでよかった」時代がバブル崩壊まで続きました。

 日本の問題が膿のように湧きだし、その解決に書名の通り、自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみようということです。
 働き方から見ると、日本の労働者の生産性は低く、「いかに効率よく人と時間と資源を活用する」かが大命題です。その答えが、 「定年の廃止」「残業の禁止」です。前者は「エイジフリー」を目指し、健康寿命の間は働くことで、財政を助け、労働人口の減少にも貢献できます。後者は、「決められた時間内にアウトプットを出す」しくみや働き方を考え、「同一労働同一賃金」を施行すれば、人材の流動化や人への評価の向上にもつながり、引いては少子化対策にもなります。経済対策では一人当たりGDPを向上させ、豊かな生活を送れることを目指し、社会福祉は「中負担・中給付」を念頭に、消費税20%、単一税率(行政サイドの業務の低減になる)が良い国家への道筋であると論じておられます。

  このような国にするリーダーの存在が極めて重要であり、リーダーの資質が問われるところであります。なにも国に限らず、組織と言われる場でのリーダーの資質、教養が低いことを嘆かれ、「『人・本・旅』(人に出会い、本を読み、現地に行って学ぶ)で研鑚を積み、インプットの絶対量を増やす」一方、「アウトプットの機会を強制的に設ける」ことで、「書くことにより頭が整理され、次の仕事の質を高める」ことができます。このあたりはAI時代になればなるほど、人間の力量を伸ばす術になりますね。

『自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議』(出口治明・島澤諭 著、SB新書、本体価格800円)

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あきらめなかった人々

2017-02-15 13:16:37 | 

 『思考は現実化する』のナポレオン・ヒルの未刊の原稿を、デニス・キンブロ氏に後を託された本書は、成功への道筋を極めて解りやすく書いています。

 『習慣の力』(デュヒッグ・チャールズ著、渡会圭子訳、講談社+α文庫、本体価格920円)で、「習慣とは自分が選んできたものであり、習慣こそが自分を表す。」とされていました。ここでは、生きている以上は常に行っている「思考」に関して、

 「思考は原因であり、人生の状況がその結果である。」

 「あなたはあなたの思考の産物である。」

とするように、思考が習慣や行動の基になり、生きる姿は思考あっての物種ですね。その思考ですが、「思考は現実化する」仕組みは、心に望むものをイメージし、そのイメージを無意識の領域に送り込むことで、現実化することになります。人間の心が考え、信じられることは必ず達成できる」のです。どれほど強くイメージするかが左右します。

 とは言え、すべての人が成功していないのはなぜか?このことに明解に答えています。人間は大勢の人と同じにしていれば楽なので、同調する傾向があり、この同調こそが尖がった存在にならない原因です。つまり、「勇気の反意語は臆病ではなく、同調である。」であり、「ほかの誰もがしていることの対極を行え!」とエールを送ってくれています。

 我々が生きている以上、「自分という人間の価値を見出すことは、人の義務」ということを胆に銘じたいですね。

『思考は現実化する あきらめなかった人々』(デニス・キンブロ/ナポレオン・ヒル著、田中 孝顕訳、きこ書房、本体価格1,380円

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八重子のハミング

2017-02-13 14:07:24 | Weblog

  本書は4000日余りにも及んだ老老介護の軌跡です。現代の「智恵子抄」とも評され、昨年には映画化もされました。

  著者である陽信孝さんはがんを発病、入退院を繰り返しつつ、3度の手術から生還しました。彼がガンになったころから、妻・八重子さんに若年性アルツハイマーが兆候が見え始めました。ガンと闘いながらも妻を11年間介護した夫は、中学校校長から山口県萩市の教育長になりましたが、妻の介護のために定年を待たずに退職。「高齢化社会を迎えようとしている今、こうした家族の病気を、家族だけの問題として世間から包み隠しておくべきではない」という思いから、仕事がらみの講演会に呼ばれる時も、妻を同行して行きました。同居する孫までもが、「ババへの思いやりは“心の薬”だ」として協力を惜しみませんでした。

 感動の一場面は、熱海の温泉旅館へ夫婦での旅行のお風呂に関して。部屋の内湯で済ますと伝えると、女将が「どうぞ、大浴場でご一緒にお入りください。」と言って、二人が入ってから「只今清掃中」の札を掲示しました。旅館サイドの単なるおもてなしを超えた、アルツハイマーや認知症への理解の高さと感じました。その時に信孝さんが詠んだ短歌が

「旅先の 宿の女将の はからいに 涙流しつつ 大風呂に入る」。

  介護の苦労から悟ったのは、

 「二十四時間、優しさを貫き通すことがいかに難しく、厳しいことかということである。本当の厳しさとは、優しさを貫き通すことなのだろうか。」

「人間、怒りには限界があっても、優しさには限界がない。優しさは、後から後から湧き出てくる泉のごときもので、人間が持つ肉体のすべてから醸し出されるものではないだろうか。」

の2点です。やはり心の持ちようで、精神的には平安な日々が送れるのでしょう。私も、将来同じような境遇になるやもしれません。先輩たちの思いを学べることができ幸いですね。

『八重子のハミング』(陽信孝著、小学館文庫、本体価格476円)

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2040年全ビジネスモデル消滅

2017-02-11 16:44:45 | 

 三井不動産出身の著者の目から見たビジネスの盛衰論。戦後、昭和の時代に勃興し、発展した2社、マクドナルドとディズニーランドを対象にして、ビジネスモデルを考察しています。

 アメリカの食であるハンバーガーを日本に紹介したマクドナルドは、戦後経済の発展と共に全国に店舗を設け、業容は拡大しました。「量的充足」を目指した成功体験を堅持したために、顧客の価値観の転換に合わせられず、デフレの到来と共に、そのビジネスモデルは消滅の危機にあると述べられています。ハンバーガーはうどんやそばと同じように、空腹を解決するだけの存在、つまりコモディティ化しました。

 逆に、ディズニーランドはアメリカの夢と魔法の国である遊園地ですが、規模の拡大よりも、「唯一無二」(同じ場所で高い質を提供する)の「質的充足」にポジショニングを維持したため、デフレ下でも入場料の値上げをしても入場者数は増すばかり。顧客にワクワクやドキドキを与え続け、リピーターを増やし、海外からも入場する傾向があります。

 「顧客が感じ取ることができるマクドナルドの価値は、いつでも『想定どおり』のおいしさである」のに対し、「ディズニーランドは、顧客によって違う『夢の価値』を感じてもらう」という徹底的な違いが生じています。現代日本人がどちらに消費をするかは明白だと思います。絶え間ない「価値創造ビジネス」だけが残り得るのでしょう。

 しかしながら、2040年には日本のファンダメンタルが大幅に変化します。人口減少、少子高齢化、経済格差の拡大、AIの発展を考慮に入れれば、『夢の価値』を消費したいができないステージが訪れる可能性も見込まれます。また、不動産の視点からも、空き家の増大、持ち家やマンションの購入・維持の困難性も生じ、まさにブラックな未来が到来するかもしれません。

 この未来予想図に対し、日本の叡智をかけて、解決策を講じなければなりません。その萌芽は実は原点に戻ることではないかと考えます。

『2040年全ビジネスモデル消滅』(牧野知弘著、文春新書、本体価格800円)

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一汁一菜でよいという提案

2017-02-08 15:36:20 | 

 「ハレ」ばかりの食事に脚光が浴びる中、あえて「一汁一菜でよいという提案」をされるのはただ粗食が良いということだけではありません。

 「一汁一菜とは、ただの『和食献立のすすめ』ではありません。一汁一菜という『システム』であり、『思想』であり、『美学』であり、日本人としての『生き方』だと思います。」

 和食には「自然」という存在が大きく関与し、それを手を掛けずの料理、つまり自然の恵みをいただく家庭料理が毎日の「ケ」の食事です。

 「人生とは、食べるために人と関わり、働き、料理して、食べさせ、伝え(教育)、家族を育て、命をつなぐことです。」

 食を通した「人間学」の本として大評価できる本書は、一汁一菜をいただくことが、お天道様の国である、日本人の魂を醸成することを証明してくれます。

『一汁一菜でよいという提案』(土井善晴著、グラフィック社、本体価格1,500円)

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人工知能に負けない脳

2017-02-06 14:37:52 | 

 書名に「人工知能に負けない」と書くほどに、2045年シンギュラリティ(技術的特異点)の訪れは恐ろしいものになるでしょう。この時点でIQレベルで4500となる、コンピューターは自分で自分を自動的に改良できるようになります。脳科学から見て、人工知能の研究は「人間の意識や心の理解度」をほぼ考慮に入れないレールの上を走っており、人工知能が人類を支配する可能性を科学者たちは恐れています。

 逆に言えば、論理(ロジック)に強い人工知能の弱点は「感情(エモーション)」であり、これからは次の5つを強化していくことが、人間の生きる道となります。それは

コミュニケーション、直感やセンス、発想・アイデア、身体性、イノベーション

になります。人工知能は「マニュアル人間の典型のような存在」であり、計算力、書類作成、データ解析や検索、記憶力、オペレーションなどの結果には強いが、「欲望や目標を持って意思決定する」原因は人間にしかできません。但し、原因を導き出す教養は自分で形作らなければなりません。

 本書で読んで心地良いメッセージがありました。「人間はもう少し『ちゃらんぽん』『いいかげん』に生きていい」ということ。デジタル地図で目的地を検索すると、最短ルートを表示し、道草や寄り道はさせてくれません。結果に強いデジタルの特徴ですが、余裕を持って、寄り道をして、素晴らしい偶然や出会いがあってもいいのではないかと思いました。

『人工知能に負けない脳』(茂木健一郎著、日本実業出版社、本体価格1,300円)

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ダントツになりたいなら、「たったひとつの確実な技術」を教えよう

2017-02-03 13:55:01 | 

  ノルウェー軍空挺部隊出身のメンタルトレナーの著者は、オリンピックメダリストなどのアスリートや企業幹部にもトレーニングを施しています。

  人間は本能的に一番楽な解決策を選択しがちです。なるだけ毎日の習慣を変えず、日々の流れに乗りかかって生きています。事なかれ主義的な存在です。これは誰しも理解できますよね。

  しかしながら、ダントツの人はあらゆることを総合して一番大切と思う物差しである「価値観」が明確であり、人生でどうありたいかの「欲求」を正しく知っています。自分は何者であり、どうなりたいか?に答え、価値をどこに置き、自分のビジョンを指し示します。現状と感情がかきたてられる目標との乖離を嫌悪し、今の習慣を変えていこうとします。すなわち、「驚くほどわずかな違いが大きな差を生む」ことを知っており、「大部分の人が見逃している日々のちょっとした習慣に気をつけて」、「日常の小さな『正しい決断』を下すのが上手」な人こそがダントツな人の特徴です。

   著者は自分の人生を俯瞰して、自分の価値観や欲求、掲げている目標から判断して、今の自分はどうすべきかを思考するように提案しています。そうすることによって、ダントツな人のように、「惰性を嫌悪する感情」を抱かせ、習慣を変えるように仕向けます。「人生を変えるのは感情である」というのは事実ですね。

  そして、習慣の実行には長時間の忍耐と集中力を奉げ、心のつぶやきであるパワーステートメントを良質化し、イメージトレーニングで自身のあるべき姿を視覚化すれば、ダントツへの道は開かれると述べています。著者はあとがきで、再読を奨め(再読をすることを強いられたのは初めてです)、要諦をしっかりと理解しろと伝えことでペンを置いています。

『ダントツになりたいなら、「たったひとつの確実な技術」を教えよう 』(エリック・ベルトランド・ラーセン 著、鹿田昌美訳、山口真由監修、飛鳥新社、本体価格1,389円)

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読んだら忘れない読書術

2017-01-30 17:23:56 | 

  読書論、読書術に関しては多くの書籍が出版されています。本書はその中でも私の意見とほぼ同じです、電子書籍に関する点以外は。

  読書は心や脳へのインプットであり、そのインプットがなければ、心や脳への養分はありません。そのインプット量も月7冊読むだけで現代日本人の上位4%に入ります。それだけで知の世界では優位に立てます。また『「文章力」は絶対不可欠な「仕事力」』である、インターネットの時代では、「たくさん読んで、たくさん書く」しか文章力は鍛えられないという著者の論に大賛成です。インプットをし、アウトプットをしなければ、身体で例えると、便秘の状態。健康には良くないのは間違いありません。SNSやブログで感想を書いて、読者同士でシェアをすると、読書からの人のつながりも芽生えます。

  読書術で極めて参考になったのは、 「15-45-90の法則読書術」です。「高い集中力が維持できる限界が15分。普通の集中力が維持できる限界が45分。45分の間、少し休憩をはさめば、90分の集中も可能。」というような集中力を意識した読書は考えたことがありませんでした。これでスキマ時間を意識して、有効な読書タイムを形作りましょう。。

  月に7冊読めるように自分の時間を取り戻し、読書を有意義な人生を歩む糧にすることこそ、AI時代を迎える将来への橋渡しです。

『読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑著、サンマーク出版、本体価格1,500円)

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こころの子育て

2017-01-28 12:24:36 | 

  大正13年生まれの91歳のばあちゃん助産師さんの出産、子育ての教えです。ただ単なるノウハウ本ではなく、人間洞察の鋭いことが満載されています。誕生の場面に立ち会い、その後の母子の成長を見守る目には狂いはありません。

  男の私にはできないこと、出産に関して、 「出産は神の領域や。」と言い切る。確かに受精してから誕生するまでを宇宙や地球の誕生になぞらえられたりするぐらいなので、人為の及ぶことではないでしょう。

  誕生してからは母親の苦労たるや測り知れません。以前なら3世代同居の家庭でしたので、信頼できる応援団が付いてくれていましたが、核家族になり、母親だけにその責任が圧し掛かっていル形になっています。 「0才児の赤ちゃんは神様や。」と思えば、神様を扱うように、また慕うように愛情を込めて遇せば、 「こころの根っこを育む」ことになります。 「子育ての本質は、つねにつねに祈りなんです。」とは、子どもへ「思いをかける」ことに集中せよ!、メールやSNS、テレビに気を逸らさず、赤ちゃんに全精神を傾けよ!というメッセージです。だからこそ、0才児の子育てができたら、あとは問題ないということになります。ここで坂本さんの至言が胸に突き刺さります。

「赤ちゃんはお母さんの合わせ鏡。」

「0歳の時の様子を見れば、どんな大人になるかがわかる。逆に大人を見れば、0歳の時にどんな養いをされたかがわかるもんや。」

  「子育てって、本来は伝承的なもの」でなくなろうとしている現代の家族形態なので、本書の貴重な考え方は本からでも次世代に伝達していかなければいけません。その根本にあるのがこころのオモイです。

「自分本位に考えるのは『思う』
相手の身になって考えるのは『想う』
相手の幸運を念じて祈るのは『念う』
オモウココロには、三通りあるな。」

  子育てだけでなく、人間が生きていく上では何事も『念う』気持ちで対していかなければなりません。

  『ばあちゃん助産師 こころの子育て』(坂本フジエ著、産業編集センター、本体価格1,400円)

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人生二度なし

2017-01-27 16:01:25 | 

 20~30代前半の若い社会人向けに書かれた人生指南書。とは言え、何歳になっても「人生二度なし」であることは間違いないので、年齢に関係なく読んで納得の一冊です。

 いかに生きるのかという命題に対して、考えること、職業、友、読書、趣味、先輩や指導者、結婚、そして、健康、時間などの項目別に森信三先生は語りかけています。いかに意義ある人生にするかに関しては、まず、

「人生二度なし」という真理に目覚め、

一生を貫いて、一つだけでも努力すべきことを持ち、

それが人のためになれば良い

と断じています。「人間は各自その素質・天分を発揮することを通して、世の中のために尽くすところ」は自分の職業を持って尽くせと述べられていることは、ただ単に生活費を稼ぐためだけではなく、職に関してどういう思い、理念を自分で抱くか常に考えなければなりません。大きな視野で職を全うする、その気持ちが大切です。

 私自身は、活字離れ、読書離れと言われて久しい日本で、読書推進の錦の御旗を振り続けたいと考え、書店業に勤しんでいます。

『人生二度なし 悔いなく生きるために』(森信三著、致知出版社、本体価格1,600円)

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