あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

お坊さんが書いた 人生、どっしりとかまえる本

2016-06-25 15:37:59 | 

 とかく生きづらいながらも、足を一歩一歩前へ出していかなければならない。そんな時に杖になるようなエッセイを提供してくれる1冊。現役の住職であり、児童文学作家でもある浅田宗一郎さんは49編に小さな物語を挿入し、より理解しやすい仏の道を説いています。はじめに書かれた、「勝てなくても絶対に負けない世界」への導きの書です。

 四苦八苦に苛まれる毎日でも「どっしりとかまえて」生きたい!そんなときの助言として私が受け取ったのは

 「今、この縁を大切にしよう」「こだわらない」「何事も肯定的にとらえよう」「平穏に身を置く」

の四点です。また、生きていく上で大切なことは

 「夢を持ち続けること」

であり、目標への到達の可能性を日々高めていく努力を怠らない人生を歩むこと。あきらめるとゼロになるので、継続こそが自分を強くしてくれます。人として生きていくには自身の志、理念を曲げずにまっすぐに!というメッセージを強くいただきました。感謝!

『お坊さんが書いた 人生、どっしりとかまえる本 』(浅田宗一郎著、PHP研究所、本体価格1,200円)

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年上の義務

2016-06-25 15:00:25 | 

 世代間格差が叫ばれる中、先に生きたからといってあぐらをかいている年長者へ「喝」を入れているのが本書です。エライ存在の年長者さん、読むべきですよ。

 「今どきの若いやつは・・・」と常套セリフはもう通用しません。というのも、「若い人は『劣化」したのではなく、あんな大人になりたい、という『目標となる人』がいない」、すなわち、大人こそが劣化しているということを、まず認識することが大前提になります。若い人はそういう大人を無視しています。我々の一部はスルーされているのです。

 「我々の若い頃はなぁ・・・」というセリフも回顧主義に浸るだけならまだ許されます。現代の若者の外部環境は生まれた時からのデジタル世代であり、成長していない経済下で幼少から青春期を過ごしています。つまり、年上世代が作り上げた日本社会の基礎はバブルとともに吹っ飛び、デジタルが進展した今、この世代間環境の差は天と地の違いであり、これをアナログおじさんが十二分に知るべきです。

 そこで、各分野の一線級の人たちにインタビューした山田玲司氏は、大人には3つの義務を課しています。

 「愚痴らない」「威張らない」「ご機嫌でいる」

を実行に移せば、年上は年下にとって尊敬の対象になり、世代間にコミュニケーションの涼風が吹くことになるでしょう。大人よ!謙虚に人間的成長をせよ!ただそれのみです。人間学で学びましょう!

『年上の義務』(山田玲司著、光文社新書、本体価格740円)

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自分を変える読書術

2016-06-20 15:02:40 | 

 活字離れ、本離れが進めば進むほど、読書に関する本が出版されています。出版側の危機感の現れかもしれませんが、就職後の人材としての生き残りには、読書は不可欠になることがさらに鮮明になってきたからでしょう。

 著者の堀氏は、

「学歴ではなく、『学習歴』こそが重要だ」

と断言されています。学歴という価値観が仕事をするのではなく、自己の成長こそが仕事でのポジションを作りだします。そのためには就職後の「学習歴」が大切になり、その学習には、「読書」か、人の話を聞いて学ぶ「耳学問」しかありません。人脈の構築や話し言葉が論理性を育まない「耳学問」よりも、いつでもどこでも誰とでもアクセスできる「読書」の方が効率が良い。そして、読書の7つの効用や、読書の仕方を詳細に解説。読まなくても生きていけるが、人としての幸福を考えれば、今日からでもページを繰りましょう。

 最後に、論語を一つ紹介しましょう。「子曰、性相近也。習相遠也。 (子曰わく、性、相近し。習い、相遠し。)」とは、生まれてくるときは誰しも変わらないが、学習の量や質で人の一生は大きく変わるということ。2500年前から、その真理は変わりません。

『自分を変える読書術』(堀紘一著、SB新書、本体価格800円) 

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こだわりバカ

2016-06-20 14:40:07 | 

 書名にも使われている「こだわり」という言葉。この単語を使用すれば、間違いなく会社や店のコピーはイケていると思っていても、本当にこだわっているか否かは別にして、競合他社や店舗も使用している場合が多いですね。「こだわり」を使用していることが差別化を生まず、特徴ないメッセージになり、選ばれる基準以下になっています。であればこそ、著者の川上徹也氏は

 「発信側の志や哲学を1行に凝縮し旗印と揚げる」

ことを奨めています。その結果、「深く共感するファン」を増やすことができるのです。自店の足元を見つめ直し、受け取る人に突き刺さる言葉を再確認しなければなりません。

 特に、221~224ページには、全国の書店への失望と再度のチャレンジへのエールを書いてくれています。私自身に語ってくれていると信じて、「こだわりバカ」になっていることを認識し、再構築してみます。

『こだわりバカ』(川上徹也著、角川新書、本体価格800円)

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海は見えるか

2016-06-06 15:46:11 | 

  『そして、星の輝く夜がくる』(真山仁著、講談社、本体価格1,500円)も文庫化され、続編が待ち遠しかったんですが、幻冬舎から『海は見えるか』が震災5年目を前に出版されました。
前作の『そして、星の輝く夜がくる』のことはこのブログでも書きましたので、ご一読ください。

http://blog.goo.ne.jp/idomori28/e/4383a28b9ea50b9e3378e49a22c21286

 今作は東日本大震災から2年目の遠間第一小学校での1年間を綴っています。神戸市からの応援教員・小野寺徹平先生は地域の人々からの強い要望もあり、6年2組の担任として再任の教壇に立ちます。1年目の子どもたちと比較して、覇気の無さを感じつつ、子どもたちの心の変容に寄り添っていきます。震災の復旧、復興事業に被災者は喜びつつも、その不条理な内容や進行に戸惑いますが、本当に思うことは

「何より俺たちが望んでるのは、普通の生活なんだよ。」

という声です。「普通」とは「安心」を意味し、それは「安全」よりも優先されること。津波対策としての高さ15メートルの防潮堤よりも、1000本の黒松が連なっていた松原海岸の復活こそが住民の心に「安心」を生み、

「何があっても時間は過ぎてゆくし、日常は続いてゆく。教訓を学ぼうと学ぶまいが、人は明日に向かって生きてる」

という希望が心に芽生えるんですね。阪神淡路大震災から21年を経た、自分の街の安心な存在は何だろうかと思いを巡らせますね。

 我々は生きていく以上は、まわりの環境に左右されます。どんな環境下にもいまここを「生きる」ことの素晴らしさに気づかねばなりません。

『海は見えるか』(真山仁著、幻冬舎、本体価格1,500円)

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神様が持たせてくれた弁当箱

2016-06-04 16:59:50 | 

 昨年まで15年間、春日大社権宮司を務めた岡本彰夫・帝塚山大学特別客員教授が、江戸時代の観相家・水野南北の名著『修身録』を紐解きながら、いかに生きるべきか、社会をどう見るか、神道の教えを導いています。

 『天に無禄の人を生ぜずといえり。』から、食の大切さを訴え、「神様は私たち一人ひとりに見合った、幸せの弁当箱を持たせてくださいます。」という考えを頭の片隅に置くように奨めておられます。見合った分より少なく食せば、余った分を他の動物へ分け与える祖母に育てられた著者は

 「無駄使いしない人は、天に徳を積むことになり、幸せな一生を送ることができる」。

と説いています。

 また、『満つれば欠くる事、天理の理なり。』との章句からは、自分の幸せのバロメーターをどこに定めるかで幸福感が変わります。自らが満ることに執心すれば、我利我利亡者になりかねず、欠くことがあっても、いずれは満ると考えると穏やかに暮らせます。

 『相は誠を以て本とす。汝の心誠ならざる故に宜しき相も悪しく変ず、故に相は活物なり。』の言葉は桝添都知事に差し上げたい。神道は「清く、正しく、美しく」がモットーですから、都知事にはいずれ天罰が下ります。その中でも、「正しい人とは、『わきまえのある人』で、(中略)『術』と『心得』と『恥』を知っている人」であればこそ、正義よりも利に走ると見っとも無く写ります。

 天網恢恢疎にして漏らさずというように、天理に則って生きることは時代に関係なく、正道です。

『神様が持たせてくれた弁当箱 』(岡本彰夫著、幻冬舎、本体価格1,000円)

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見下すことからはじめよう

2016-05-30 18:05:58 | Weblog

 生き苦しい時代と言われて有余年。現実が人の心を病んでしまい、物理的には生きていても、心が泣いています。この社会の状況を1960年代からのマンガやアニメのコンテンツを時代に照らし合わせて分析し、これからの生きる方策を考えている本書。

 まず、現代日本を

 「複雑な社会と、持て余した欲望と、不安を回避するための壁に囲まれて、日本人は『普通』が分らなくなってしまっている」

と理解し、誰もが「壁」を作り、「壁」の内部で生きています。壁に入りたいのは、「こうあらねばならない」という同調圧力に屈してしまい、幸せになれない現実があるから。つまり、自分が判断する基準を持ちえないように日本人を改造しています。

 しかし、壁から脱しない限り、幸福感は醸成できません。そのためには、

 魅力ある人になり、リアルな場で居心地のいい場所を生み出せ!

と提案しています。他者の価値観や判断で生きるのではなく、自分基軸の人生を歩むことというOSをインストールしましょう!

『見下すことからはじめよう』(山田怜司著、ベストセラーズ、本体価格1,200円)

 

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炎の陽明学 - 山田方谷伝

2016-05-23 14:09:07 | Weblog

 毎月第4日曜日の午前9時より1時間、井戸書店では『大人の人間学塾』と称して、人間学の書籍を1冊、参加者で輪読し、その感想を述べ合うイベントを開催しています。第10回目の昨日の課題図書は『炎の陽明学 -  山田方谷伝』(矢吹邦彦著、明徳出版社)でした。

 山田方谷と言ってもなかなか知られていない人物ですが、幕末の備中松山藩の財政再建を一気に成し遂げた人物です。10万両(現在の貨幣価値で300億円)の負債を、7年で払拭し、逆に10万両の余剰金を作り上げました。

 農家の倅として生まれた方谷は、山田家の再興のため、子どもの頃から勉学に励み、神童と呼ばれるほどになりました。しかし、14歳で母が亡くなり、1年後には父も失い、家業を継ぎます。彼の才を惜しみ、藩主坂倉勝職(かつつね)が二人扶持の奨学金を出し、学びの道に戻りました。その後、京都遊学、江戸では昌平黌に学び、佐久間象山と並び塾頭になった。

 藩主が坂倉勝静(かつきよ)になり、抜本的な藩政改革を推し進める中で、山田方谷に元締役及び吟味役を拝命し、藩の財務一般を管轄することになりました。大なたを振るう改革は

 ①財務状態の藩士への公開(表高5万石に対し実石1万9千石、10万両の負債状態)

 ②大坂蔵屋敷の廃止、自力で米の売買を行う

 ③信用を失った藩札を公前で焼き払い、新しい藩札を発行

 ④領内から取れる砂鉄で備中鍬を製造販売、その他特産品も開発

 ⑤下級武士に新田開発を奨励

 ⑥農民による農兵制を新設、欧米の新兵器の導入

と、幕末の薩長土肥列藩のさきがけのような存在となりました。

 彼の思想のベースは陽明学。「致良知」と「知行合一」の陽明学を、「誠」と解釈し、「言ったことは成す」を真髄と考えました。

 しかし、藩主坂倉勝静は筆頭老中となり、幕府の中枢のため、官軍に攻めたてられたが、方谷による無血開城により、方谷は隠居の身になります。

 明治新政府は彼に大蔵大臣就任を依頼しますが、頑なに断り、農夫と塾長として田や人を耕しました。

 彼こそは代表的日本人に加えてほしい。時代は違うとはいえ、1000兆の負債を抱える日本は彼の生き様を参考に財政再建に努めてほしいと思います。地元である備中高梁市では、方谷をNHK大河ドラマで取り上げる運動を行っており、この時代に彼の功績を国民に観てもらう必要があると考えます。

『炎の陽明学 -  山田方谷伝』(矢吹邦彦著、明徳出版社、本体価格3,300円)

 

 

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縁は苦となる苦は縁となる

2016-05-19 17:25:04 | 

 帰省した次男坊が、「大阿闍梨って知ってる?」と訊いてきたので、「塩沼亮潤さんか?ほとんどの本は読んでるよ。これが新刊や。」と言って、『縁は苦となる苦は縁となる』を差し出しました。

 塩沼亮潤さんは大峯千日回峰行満行の大阿闍梨。吉野・金峯山寺1300年の歴史で二人目の達成者。その模様を書いた、『大峯千日回峰行 修験道の荒行』(春秋社)を読むと、あまりの過酷さに驚いてしまいます。驚異の荒行をやり遂げられた大阿闍梨だからこそ、仏の道を説く言葉は平易で心に沁み込みます。その中から私の胸を打った二つの文章を紹介します。

 「本来いらない『とらわれ』を捨てることにより、初めて大切な何かに気づくことができます。古来、手放すことが大切だといわれ続けてきたのは、私たちがさらにもう一つ成長するためなのでしょう。」

 人は欲があり、執着します。しかし、捨てる勇気があれば、欲も減退し、自身の目指す道も見え、生き方もシンプルになります。あれもこれもと思わずに、いまここに集中することが必要です。

 「そもそもお釈迦さまの教えである人生の真理とは、野に咲く花のように、あるがままに生きること。そして、よりよく生きることの考えかたなのです。植物は人に見えない根の部分では淡々と努力をして、天に向かってきれいな花を咲かせています。けれども自分の姿を見せびらかしたりしません。」 

 地位や名誉、肩書、権力に目がくらみ、本来するべきこととは違う生き方になっている人がいます。生きているあるがままの姿こそが美しい。それを知れば、余計な背伸びもしなくなります。

 深夜テレビ番組「クレイジージャーニー」に出演された塩沼亮潤大阿闍梨を見た次男坊は、自宅の書棚にあった『大峯千日回峰行 修験道の荒行』(春秋社)を持って帰りました。

『縁は苦となる苦は縁となる 』(塩沼亮潤著、幻冬舎、本体価格1,100円)

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青い記憶

2016-05-18 16:22:56 | Weblog

 『青い約束』を読んで感動をおぼえて、新刊の『青い記憶』も読んでみました。ちなみに『青い約束』のここでの紹介は以下をお読みください。

http://blog.goo.ne.jp/idomori28/e/866ba64114cc242d526785a3976fe228

 悪性脳腫瘍と診断された父・周輔は息子・希一へ、手紙という形態で彼の青年時代を包み隠さず語る小説。周輔は絵を描きたい一心で東京芸大に2度受験するも失敗し、早稲田大学商学部へ入学します。しかし、絵への思いは捨てられず、大学を休学して、パリの美術試験予備校へ留学。高等師範学校に通うオルガとパリで出会い、恋に落ちる。彼女との毎日は幸せの連続でしたが、彼女が元恋人との関係を考え直すところから、周輔のパリでの生活も狂いが生じ、絵の才能の頭打ちから、帰国を決意します。ここから周輔はどん底に叩きつけられる事件に遭遇します。

 最後の30ページで事件の真相が明らかにされますが、人生の悲哀はいつどこで遭遇するかわかりません。だからこそ、一日一日を大切にしたいと考えながら読了しました。

 父から息子への手紙には、人生訓めいた言葉が書かれています。

 「本当に確信があったうえでの決断なら、逃げ道を作らないまま運悪く挫折しても、自分を納得させることができるだろうから、人生を大きく壊すことにはならないだろう。そんなときは逃げ道を作ることは力の分散になり、せっかくの進路を妨げることにもなりかねない。強い確信を抱けるかどうか。それを正しく感じ取れるかどうか。すべてはそこにかかっているのかもしれない。」

 「今、病気になって改めて感じたことなんだが、生きているということはただそれだけでも、神様からごく限られた時間だけ与えられた、かけがえのないプレゼントだ。僕らはだからこそ、それを宝石みたいにきれいなものにしていかなければならない。」

 生きる指針を常に抱いて、息子たちに語れる父になりたい!

『青い記憶』(田村優之著、ポプラ文庫、本体価格640円)

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