あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

あなたはそこにいるだけで価値ある存在

2016-07-20 14:48:01 | 

  がん哲学外来を開設し、その人に合った、副作用のない「言葉の処方箋」をがん患者に提供し続けている、順天堂大学医学部教授の樋野興夫先生。彼が尊敬している、内村鑑三、新渡戸稲造、南原繁、矢内原忠雄らの名言を46点ピックアップし、万人の人に勇気を届けるのが本書です。

 書名になっている「あなたはそこにいるだけで価値ある存在」とは、「人生は『何をするか(to do)』よりも『どうあるか(to be)』が大事であること」と書かれています。これは人間学の根本です。自らの品性を高めていくことに主軸を置けば、名刺や肩書きがなくなっても尊敬されます。

 そして、私が感銘を受けたのは

 「歯を食いしばって人を褒める」

です。「三分間褒め続けなさい」と提言していますが、こうするためには、自分を犠牲にしなければならず、結果的には風貌までが良くなると述べています。褒めるのはなかなか難しいと感じているだけに、良いところを探して褒めることをしなければなりません。

 あなたの今にフィットする言葉を見つけてください。

『あなたはそこにいるだけで価値ある存在』(樋野興夫著、KADOKAWA、本体価格1,100円)

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スマホ依存の親が子どもを壊す

2016-07-18 16:37:35 | 

  読んでいて、恐ろしいと感じました。自分の子育ての時には無くて良かったとさえ思います。

 電車に乗っても、昔は新聞や文庫を読んでいた人たちも、ほとんどがスマホの画面を見ています。何を見ているのかと覗き込んでみると、圧倒的にゲームかSNSをしている人が多いですね。寸暇を惜しんで本を読むのは時代遅れなのでしょうか。

 このスマホ、その依存性はアルコールやドラック並みだそうで、なかなか抜けれない。お母さんが育児よりスマホに集中して、「スマホ・ネグレクト」や「プチ虐待」が原因の愛着障害が子どもたちに発生し、感情の抑制がきかない子が増えています。子どもが2歳までの間では、お母さん、お父さん、そして、保育所の先生などが、子どもにとっての「心の安全基地」になる必要があるべきですが、依存は進む一方です。

 「ネットショッピング、コンビニ、SNS・・・・、すべてが『手軽』に手に入れることができるようなった快適・便利な世の中で、唯一、『思い通りにいかないもの』『生臭く、不便なもの』の代表が、子育てと介護です。」

 アルコールやドラックよりも身近にあり、楽しめ、人とつながって入れるスマホが手の中にある現状から、お子さんの愛着障害傾向チャックやネット依存のスクリーニングテストなどを付記し、育児の提案、子どもや大人への依存への対応策が記載されています。

 スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツは自分の子どもたちにテクノロジー機器の使用制限をしていたということを知れば、えらい罪深いモノを創ったんやなぁと思います。

『スマホ依存の親が子どもを壊す』(諸富 祥彦著、宝島社、本体価格1,200円)

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おばあちゃんのおにぎり

2016-07-18 16:05:16 | 

 自分の所持品の中で定期的に捨てなければならないのが本。捨てがたいがスペースは限られているので仕方ない。海の日の今日、本棚の整理をしていると、目に入ってきたのが『おばあちゃんのおにぎり』。童話だから、さだまさしだから、時間を忘れて読んでしまいました。

 さだまさしの7歳の誕生日のお話。家で誕生日パーティーを開くことになり、おかあさんは何を食べたいかをまさし少年に相談。「ポテトサラダとシュウマイ。それから・・・・・、たこのウインナー!」

 同居していたおばあちゃんも、「あしたねぇ、おばあちゃんも、おいわいしてあげるよ。おまえが、いちばんすきなものを、あげようね。」されが何かは内緒になりました。

 さて、当日はお友だちがいっぱい集まり、おかあさんのごちそう、それと友だちからのプレゼントの嵐。おばあちゃんは色んな形のおにぎりを皿いっぱいに握ってくれています。ごちそうを前にして、子どもたちは誰一人、おにぎりには手を触れず、満腹になって遊びに外へ出ました。

 まさし少年は内緒だった、おばあちゃんのプレゼントは何かと、おばあちゃんに訊きに行きました。「ん?ほら、おまえのだいすきなおにぎりが、たくさん、あったでしょう。あれが、おばあちゃんのプレゼントだよ。」拍子抜けしたまさし少年は気のない返事をして、外へ出ました。

 しかし、遊んでいるうちに、誰も食べなかったおばあちゃんのおにぎりのことが気がかりになり、家に戻ると・・・。

 エンディングは本で読んでみてください。おばあちゃんは戦前にはロシアで商売をしていた、しっかりした女傑。おばちゃんの思いは代々受け継がれていく・・・。

 あとがきを読んでいると、ぼろぼろと涙が止まらない。怖かった、自分のおばあちゃんを思い出しました。すぐに記憶がよみがえったのはある日の晩御飯。おふくろが寄せ鍋に餅を入れたところが、あんこ入りで、「あぁ、これは鍋では食べられへんわ。」と片付けたら、おばあちゃんは「あんこ入りなんて贅沢なもん、捨てられへん」と言って食べてました。そんな出来事は孫である私の心に刻まれています。

 この本は本棚に残しておきます。

『おばあちゃんのおにぎり』(作:さだまさし、絵:東菜奈、くもん出版、本体価格952円)

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天下一の軽口男

2016-07-17 14:43:30 | 

 上方落語の始祖である米沢彦八の生涯を綴った小説です。上方落語愛好者、また上方落語を趣味にしている方(私です)は必読の一冊。

 大阪・難波の漬物屋の次男坊に生まれた彦八は稽古事に行っても、すぐに尻を割る性格。但し、お笑いにだけは興味があり、幼馴染で男勝りの里乃に恋し、彼女を笑わせたい一心で、「天下一のお伽衆」を目指します。『醒酔笑』を書き著し、「笑いで人を救いたい」という思いの安楽庵策伝、豪商や武士が認める「天下一」だけを目指す鹿野武左衛門、京都での辻噺のトップの露の五郎兵衛など、滑稽噺、江戸落語、上方落語の創始者の面々が登場し、いかに人を笑わして、自分の確固たる地位を占めるか模索します。 

 「天下一の軽口師」にならんとする彦八は、江戸で鹿野武左衛門のサポートをし、大阪に戻っては、お客さんの士農工商という身分に関係なく、「天下一の軽口男」になり、大阪の生國魂神社の興行のトップに躍り出ます。大阪での里乃との再会、そして、里乃に手を握られながら死の床についても、彼女を笑わせる軽口が最後の言葉に・・・。

 上方落語の初期の歴史を学びつつ、笑いに生きる人間模様を感じました。生國魂神社での彦八まつりにも生きたくなりました。

『天下一の軽口男』(木下昌輝著、幻冬舎、本体価格1,700円) 

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いつもの呼吸で病気を流す

2016-07-11 15:17:26 | 

  人間がこれを失ったらすぐ死に陥るのは?
もちろん、「呼吸」ですね。生まれて以来、呼吸は無意識にできるため、意識に及ぶことが少ないのが現状です。著者の森田さんは10代の頃から「スーパー不調人間」で、重度の肩こり、腰痛、ヘルニア、腱鞘炎、偏頭痛、生理痛、生理不順アトピー性皮膚炎など、生きる病人百貨店状態。その彼女が解決策として選んだのが「呼吸を整える」でした。

 一日3万回の呼吸は浅いものばかりだったのを、深い呼吸に意識的に変えることで、全身に酸素が行き渡り、一挙に体質改善につながりました。意識する呼吸は所作にも影響を及ぼし、身体は緊張しなくなり、また、ゆったりと全身で行うものになりました。例えば、モノを取る時、手を伸ばすだけの身体運動だと、必ず息が止まり、酸欠状態となります。しかし、身体を動かして取ると、呼吸は穏やかになり、所作自体も美しくなります。彼女はこれを、「手先優先、足腰お留守」と呼んでいます。考えてみたら、この所作が多いのが現代人ではないでしょうか。取れれば良いから、深い呼吸ができる所作でモノを取るに変える思考が大切です。考える呼吸は自然治癒力を高めます。呼吸への思いが一変し、呼吸できていることに感謝します。


『いつもの呼吸で病気を流す 酸欠体質が治れば自然治癒力はぐんぐん上がる!』(森田愛子著、ワニブックス、本体価格1,200円)

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遅読家のための読書術

2016-07-02 18:53:41 | 

  現在は毎日1本書評を書いている著者も遅読家だった?そんな彼が行っている実践的な読書ライフは速読術でもなく、経験に培われた読書法です。誰でも無理なく多読家になれます。
 

 その方法とは「フロー・リーディング」です。熟読せずに、目的を持って読み進め、著者が何を訴えたいか、その宝探しをする読み方です。詳細は本書に譲りますが、私が特に印象を得た一文は

 「読書は呼吸である」「『読むだけ』だと苦しくなる…『書くこと』も組み合わせた呼吸読書法」


 読書というインプットに終わるのではなく、アウトプットである書く作業を組み込むとスラスラ読めるわけです。読むだけでも大変なのに、書くのはもっと大変と思っているでしょうが、1冊の本の中で自分にとってピカッと光る一文についての感想を書くだけ。引用文を探すことによって、ハードルを低くして、アウトプットをすることは読むことの意味を変えます。吸うたら吐くことは当たり前の行為ですね。

『遅読家のための読書術  情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(印南 敦史著、ダイヤモンド社、本体価格1,400円)

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死ぬ前に後悔しない読書術

2016-06-30 17:55:35 | 

 読書の根本は何かを教えてくれる本書。

 情報を得るための「子どもの読書」から、「著者が『何を問題にし、どのような角度から思考したのか』を読み取る」大人の読書が求められます。つまり、著者の思考回路を確保せよ!ということ。

 読書の本質がそれであるなら、「古典を読め!」と断じています。歴史を経ても読み継がれている本こそ、思考回路が目一杯詰まっている本物です。そして、

 「古典を読む目的は、今を知るためです。歴史の軸の中に商機を見い出すためです。過去につながらないと、目の前の迷妄は見えてこない。」

になります。「古典の置かれていない本屋は行く意味がない」と言われている理由ですね。読書の意味を知れば知るほど、本に触れたくなります。

『死ぬ前に後悔しない読書術』(適菜 収著、KKベストセラーズ、本体価格1,300円)

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バカになるほど、本を読め!

2016-06-29 16:03:49 | 

 既成概念にとらわれない発想ができたり、失敗するはずだと思われても果敢に挑戦する人が本書でのバカの定義です。すなわち、世の同調圧力を全く意に介さず、自分の志や理念に基づいて成功するまでやり続ける人は誰も教えてくれない領域に足を踏み込んでいるので、本を読まなざるをおえません。そして、このような人こそが「価値創造」できる人でしょう。人工知能が発達する段階に入り、創造力が人の真価の物差しになるはずです。だからこそ、

読書

は欠かせない。

 価値創造のための読書では、インプットだけでなく、アウトプットが必須になり、自分の思考を通し、価値を付加して表現することが大切です。

 また、もう一つ提案されているのが、異なる考え方の人同士が話し合う「読書会」を開催することです。同じ本を読むことによって、コミュニティを形成し、議論を博し、共感を得れれば、行動に移していく。特に、社会問題、環境問題、まちづくりに関して、読書会を通してアクション落とし込む現実が広がっています。

 読書の大切さにばかりに焦点が集まっていましたが、読書後の範疇、問題解決のための読書に触れ、新しい視点が生まれました。

『バカになるほど、本を読め!』(神田昌典著、PHP研究所、本体価格1,300円)

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お坊さんが書いた 人生、どっしりとかまえる本

2016-06-25 15:37:59 | 

 とかく生きづらいながらも、足を一歩一歩前へ出していかなければならない。そんな時に杖になるようなエッセイを提供してくれる1冊。現役の住職であり、児童文学作家でもある浅田宗一郎さんは49編に小さな物語を挿入し、より理解しやすい仏の道を説いています。はじめに書かれた、「勝てなくても絶対に負けない世界」への導きの書です。

 四苦八苦に苛まれる毎日でも「どっしりとかまえて」生きたい!そんなときの助言として私が受け取ったのは

 「今、この縁を大切にしよう」「こだわらない」「何事も肯定的にとらえよう」「平穏に身を置く」

の四点です。また、生きていく上で大切なことは

 「夢を持ち続けること」

であり、目標への到達の可能性を日々高めていく努力を怠らない人生を歩むこと。あきらめるとゼロになるので、継続こそが自分を強くしてくれます。人として生きていくには自身の志、理念を曲げずにまっすぐに!というメッセージを強くいただきました。感謝!

『お坊さんが書いた 人生、どっしりとかまえる本 』(浅田宗一郎著、PHP研究所、本体価格1,200円)

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年上の義務

2016-06-25 15:00:25 | 

 世代間格差が叫ばれる中、先に生きたからといってあぐらをかいている年長者へ「喝」を入れているのが本書です。エライ存在の年長者さん、読むべきですよ。

 「今どきの若いやつは・・・」と常套セリフはもう通用しません。というのも、「若い人は『劣化」したのではなく、あんな大人になりたい、という『目標となる人』がいない」、すなわち、大人こそが劣化しているということを、まず認識することが大前提になります。若い人はそういう大人を無視しています。我々の一部はスルーされているのです。

 「我々の若い頃はなぁ・・・」というセリフも回顧主義に浸るだけならまだ許されます。現代の若者の外部環境は生まれた時からのデジタル世代であり、成長していない経済下で幼少から青春期を過ごしています。つまり、年上世代が作り上げた日本社会の基礎はバブルとともに吹っ飛び、デジタルが進展した今、この世代間環境の差は天と地の違いであり、これをアナログおじさんが十二分に知るべきです。

 そこで、各分野の一線級の人たちにインタビューした山田玲司氏は、大人には3つの義務を課しています。

 「愚痴らない」「威張らない」「ご機嫌でいる」

を実行に移せば、年上は年下にとって尊敬の対象になり、世代間にコミュニケーションの涼風が吹くことになるでしょう。大人よ!謙虚に人間的成長をせよ!ただそれのみです。人間学で学びましょう!

『年上の義務』(山田玲司著、光文社新書、本体価格740円)

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