あるニヒリストの思考

日々の思いを綴る

北朝鮮の核実験に思う(その1)(自我の欲望(その1)

2016-01-11 17:51:48 | 思想
今月6日、北朝鮮は、水素爆弾の実験の行い、成功したと発表した。アメリカ、韓国を中心に、世界各国から、非難の声が上がった。日本も、例外ではない。言うまでもなく、北朝鮮の脅威が増すからである。確かに、金正恩によって支配されてる独裁国家・北朝鮮は異常な国である。金正恩は、自らに近侍している者であっても、気に入らなければ、いきなり粛清してしまう。それでも、国民は金正恩が喜ぶようなことをし、金正恩とともに悲しんでいる。軍人が幅を利かせ、軍事費が膨大であるため、国民に食糧が行き渡らない。秘密警察組織が張り巡らされているから、国民は自由な発言はできず、飢え凍えても、死を待つしかない。それでも、国民は反乱を起こそうとしない。他国にとって、北朝鮮とは何をしでかすかわからない不安を抱かせる国家である。しかし、戦前の日本もそうではなかったのか。軍人が威張り、国民に食糧が無くても、上位の軍人はたらふく食べていたのではなかったか。国民は天皇が喜ぶようなことをし、天皇とともに悲しんでいたのではなかったか。国民は、一度として、天皇制による軍事国家に対して反乱を起こしたことはなかったのではないか。むしろ、国民は、国会議員や軍人や警察などの国家権力が、天皇制による軍事国家や海外戦争に対して異見を持つ者に対して、拷問や粛清を行った時、むしろ、国家権力に対して拍手喝采を送ったのではなかったか。戦後になり、天皇が象徴となり、軍事国家も消滅し、ようやく民主主義を謳歌できるようになった。しかし、国民は、戦後七十年ともなると、戦前の苦労を忘れてしまったようだ。それが、自民党の衆参の絶対的支配を選ぶことを招請した。自民党の党是は憲法改正である。それは、結党当初から存在した。自民党は憲法改正の機会を、手ぐすね引いて待っていたのである。A級戦犯の孫である安倍晋三が、狂喜乱舞したのは当然のことである。今年の参議院選挙の結果、自民党・公明党・大阪維新の会などの改憲勢力が、参議院の三分の二の議員を占めると、憲法改正に大きく動く。改憲勢力が、すでに、衆議院では、三分の二の議員を占めているからである。もちろん、衆参で、憲法改正案が通っても、その後、国民投票が待っている。しかし、安倍晋三は自信満々である。なぜならば、テレビ局、新聞社を中心としたマスコミを牛耳り、抑圧し、国民を一時の景気上昇でうつつを抜かせることに成功したからである。自民党政権によって憲法改正が成立すれば、日本は戦前の日本の道を歩むようになるのは必至である。現在の北朝鮮を非難することはできない。ニーチェは「大衆は馬鹿だ」と言った。それは、19世紀の言葉である。しかし、その言葉は、現在も生きているのである。人類全体も、日本人も、進歩しないようである。マルクスも、「歴史は二度繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。」と言っている。日本人は、太平洋戦争の敗北だけでは気づかず、もう一度、大きな戦争の敗北を経験して、初めて、どのようなあり方が日本にふさわしいのか気づくのかもしれない。しかし、その時、日本という国は存在しているだろうか。たとえ存在していたとしても、立ち直れないほどに叩きのめされているのではないだろうか。

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