あるニヒリストの思考

日々の思いを綴る

安倍晋三首相におけるエディプス王の欲望の発露

2017-07-11 17:18:21 | 思想
加計学園問題が、国会で、ようやく、前文部科学省の事務次官の前川氏を参考人招致して、本格的に取り上げ始めた。森友学園問題が、大阪府議会で、ようやく、前理事長の籠池氏を参考人招致して、本格的に取り上げ始めた。しかし、いずれの場でも、詳細が明らかにされることはないだろう。しかし、両問題とも、状況証拠からして、国民の誰にも、主犯はわかっている。言うまでもなく、主犯は、安倍晋三首相である。自民党の総裁でもある安倍晋三首相は、公明党と共謀して、国会で、強行採決をさせて、これまで、日本戦略会議、特定秘密保護法、集団的自衛権、共謀罪などの法案を成立させてきた。それらの法案が、国民目線に立ったものでないことは言うまでもないことである。それらの流れの中にあるのが、この加計学園問題、森友学園問題である。なぜ、安倍首相は、暴挙を繰り返すのか。それには、言わずもがなのことだが、二つの理由がある。一つは、国民の野党に対する支持率が低かったことである。民進党は、民主党政権時代の国民の不信感を払拭できていない。共産党は、旧ソ連の共産党、中国の共産党、北朝鮮の共産党に対する国民の悪いイメージから抜け出ていない。それらの国の共産党と日本共産党が、どこがちがうのか、多くの国民には明瞭になっていない。社民党は、国会議員の数も少なく、その活動が国民に認識されていない。もう一つは、逆に、これまで、国民の安倍内閣に対する支持率、自民党に対する支持率が、高かったことである。精神分析の用語に、人間の無意識心理(深層心理)についての最も基本的な概念の一つに、エディプス・コンプレクスがある。フロイトが提唱し、ラカンが継承し、発展させたものである。男児は、母親に対し近親相姦的な愛情を抱き、父親を憎むようになるが、父親の反対に遭い、社会が父親の味方をするので、意識にとどめることができずに、無意識心理(深層心理)の中に抑圧してしまう。この抑圧された感情に伴う心的現象(コンプレクス)がエディプス・コンプレクスである。エディプス・コンプレクスという命名は、ギリシア神話の、父親と知らずに父親を殺し、母親と知らずに母親と結婚した、エディプス王の悲劇によっている。ところで、男児の母親に対する近親相姦的な愛情は、決して消滅したわけではない。無意識心理(深層心理)内に留まっている。だから、父親の反対がなく、社会的に容認されていると思えば、男児は母親の近親相姦的な愛情に突き進んで行くであろう。男児の本能には、母親に対する近親相姦的な愛情を抑止するものは存在しない。男児に限らず、我々人間には、社会的関係(人間関係)において、本能は存在しない。我々人間は、社会的関係(人間関係)を営みながら暮らしているが、その営みの中で、無意識心理(深層心理)の中から、欲望が生まれてくる。誰しも、その欲望をそのまま叶えようと思う。もしも、その欲望に対して反対する者(勢力)が存在せず、自分の欲望が社会的に容認されていると思えば、行動に移すだろう。そこに、善なる欲望、悪なる欲望の峻別は、存在しない。まさしく、安倍晋三首相は、その立場に立ったのである。安倍晋三首相の欲望に反対する野党勢力は弱く、内閣支持率・自民党支持率が高かったから、安倍晋三首相は、日本戦略会議、特定秘密保護法、集団的自衛権、共謀罪、森友学園、加計学園に対する処置を我田引水的に、強行することができたのである。安倍晋三首相は、自らの欲望が社会的に圧倒的に支持を受けていると思ったから、一連の暴挙に出ることができたのである。さて、安倍晋三首相のこれらの欲望、これらの暴挙の果てに待っているものは何か。戦前回帰である。大日本帝国憲法の復活、教育勅語の復活である。それは、自民党の憲法改正草案に、明瞭に見て取ることができる。安倍晋三首相は、戦前のように、国家指導者が強硬に国民を統制し、軍事力を背景にした、強い日本を取り戻したいのである。そこには、戦前の日本に対する反省の思考は一抹も存在しない。しかも、アメリカ頼みの戦前回帰である。それは、安倍晋三首相のアメリカへの媚びを売る行いから、明瞭に見て取ることができる。具体的には、自衛隊員の命・沖縄県の軍用基地の積極的な差し出し、思いやり予算の増額、TPPの積極的参加(トランプ大統領によって頓挫させられたが)などに、はっきりと現れている。しかし、安倍首相が、このような国民目線から離れた欲望を達成してきたのはなぜか。言うまでもなく、弱体な野党勢力、自らへの国民の圧倒的な支持に原因がある。だから、安倍首相の欲望を押しとどめるためには、野党第一党の民進党は、自民党と同じような考えを抱いている議員を排除し、自民党の第二政党の誤解を解き、真に国民目線に立った政党に生まれ変わらなければならない。また、国民自身は、権力者に熱い期待を抱き、圧倒的な支持を与えてはいけない。国民から圧倒的な支持を受けた権力者は、必ず、自らの内なるエディプス王の悪なる欲望すら叶えようとするからである。マスコミは、全ての権力者の悪なる欲望を暴き続けなければならない。なぜならば、権力者は、常に、暴走する可能性を持っているからである。権力者の無意識心理(深層心理)には、常に、エディプス王の欲望が潜んでいるのである。