おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

荒野の七人

2019-05-26 10:20:01 | 映画
「荒野の七人」 1960年 アメリカ


監督 ジョン・スタージェス
出演 ユル・ブリンナー    スティーヴ・マックィーン
   チャールズ・ブロンソン ジェームズ・コバーン
   ロバート・ヴォーン   ホルスト・ブッフホルツ
   ブラッド・デクスター  イーライ・ウォラック
   ウラジミール・ソコロフ ロゼンダ・モンテロス
   ジョン・アロンゾ    ビング・ラッセル

ストーリー
メキシコの寒村イスカトランの村人達は毎年収穫期になると恐怖におののいていた。
カルヴェラが率いる野党がきまって掠奪にくるからだ。
ヒラリオと2人の農夫は皆を代表して戦うことを決議、銃を買いに国境のアメリカの町やって来た。
彼らが町に着いた時に騒ぎが起きていたが、ガンマンのクリスとヴィンは鮮やかにこの騒動を片づける。
ヒリイオ達はこの有様を見てクリスにわけを話して力になってもらうことにした。
同意したクリスは腕の立つガンマンを探し始めた。
最初に仲間に入ったのがクリスの古い友人ハリー・ラックだった。
ヴィンも仲間に入り、ナイフ使いの名人ブリットと早打ちのリーも加わり、それに西部で名高いオラリーも仲間に入れた。
そんな中にチコという男がいて、経験も浅く40人もの敵を相手に戦うには若過ぎたがチコは強引に仲間に入れてもらった。
7人のガンマンを迎えて村は一変した。
クリスは村人達に戦う準備をさせた。
そんな時に、カルヴェラ一味が村を襲って来て凄惨な拳銃戦が展開されたが野盗は撃退された。
村の雑貨商ソテロは臆病者で、彼が戦いにまき込まれるのを恐れて裏切ったことで、カルヴェラは7人の逆をついて村を占領した。
やがて掠奪に酔ったカルヴェラ一味の隙をついて逆襲が開始される…。


寸評
黒澤明の「七人の侍」をジョン・スタージェスが西部劇に置き換えた作品で、本家と比較するとその面白さは足元にも及ばないが、キャスティングも揃えてそれなりの水準を保った作品となっている。
この作品が本家と互角の出来栄えを誇っているのはエルマー・バーンスタインの音楽だ。
タイトルバックは平凡だが流れてくるテーマ曲は小気味よい。
この音楽がなかったら随分と評価は下がってしまう。

「七人の侍」は日本が誇る、あるいは世界の映画史においても燦然と輝く作品だと思うので、どうしてもオリジナル作品と比較して見てしまう。
7人のガンマンを探すシーンはある程度の時間を費やしているが、リーダーとなるクリスが候補者の心当たりをつけていて、探し出す苦労はあまり感じられない。
導入部に当たるこの人探しのエピソードは、やはりオリジナルの方が面白く出来ている。

七人のキャラクターは割り振られていて、ブラッド・デクスターのハリーが山師なのが面白い。
クリスが村の助っ人に行くのは、きっとお宝があるに違いないと最後まで信じていたことにホロリとさせられる。
ホロリとさせられる第一は チャールズ・ブロンソン のオライリーで、普段は600ドルから800ドルの仕事を引き受けているが、今は金がないというので20ドルのこの仕事に参加している。
彼は子供好きのようなところがあり、3人の男の子から慕われていて微笑ましいキャラクターだ。
彼の担当になったという男の子達との掛け合いが微笑ましく、緊張の中でほのぼのしたものを感じてしまう。
この掛け合いを見ていると彼の最後は全くの予想通りだった。
キャラクターとして、そのコスチュ-ムが際立っているのがロバート・ヴォーン扮するお尋ね者のリーなのだが、大した見せ場もないままに倒れてしまうのは少し肩透かし。
お尋ね者の末路だけを描いていた。
ジェームズ・コバーンのブリットは 宮口精二の久蔵だと思うのだが、彼のナイフの腕前の見せ場は・・・。
比較してみていると、オリジナルで描かれたキャラクターがそれぞれに分割して割り振られている。
ホルスト・ブッフホルツのチコは三船敏郎と木村功を合体させたようなキャラだ。
農民上がりで、後ろを何処までも付いて来て、川で魚を手づかみするところなどは三船の菊千代だが、若くて村娘と恋に落ちるところなどは木村の勝四郎だ。
スティーヴ・マックィーンのヴィンに「お姉さんはいるか?」と子供に尋ねさせているが、これは三船・菊千代のセリフだった。

戦いはオリジナルと違って、駆け引きなしのいきなりの戦闘で始まり、逆に彼らが村に攻め入ってくるが事前に作った堀や防御壁がどのように役に立ったのかわからない。
オリジナル脚本をここまで大幅に変更する必要があったのかどうか?
西部劇設定のために変更する必要があったとも思えないのだが、作品としてのオリジナリティを出したかったのかもしれない。


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2 コメント

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Unknown (映画大好きオヤジ)
2022-09-20 19:41:52
当ブログのファンで全記事読破中です!過去記事にコメント失礼します。戦いに倒れる四人ですが全員に映画シナリオの教科書のような「伏線と回収」的な見せ場があると思っています。ロバート・ヴォーン扮するリーは村人の危機を救う為の攻撃に出ず様子見でやり過ごす情けないシーンがありましたが、再度同様の場面に遭遇した時の躊躇の無い身動き

山師ハリーは一人先んじて、戦いの場を去って行きますが
戻って来て見せ場もないまま敵弾に倒れますが・・
(仲間の為に戻って来たと思われるような事は彼なりの美学に反するのでしょう。)事切れる間際のハリーを抱きかかえるクリスに金への執着を語る彼なりの「見栄と気取り」に
これまた粋なウソで応えるクリス・・・
↑ こんなカッコいいシーンはなかなかお目にかかれるもんじゃないと思っています。

あるいは本当に単なる「金の亡者」でした。という見方も出来ますが

後年、「大脱走」で画面に影も形も無いスティーブ・マックイーンのヒルツが独房の壁にボールを当てる音を響かせる
最ッ高にカッコいいラストシーンを魅せてくれた
ジョン・スタージェス監督なので、ハリーの最期も二人の名優の見せ場だったと思いたい私です。

長文失礼しました。
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リメイクとして (館長)
2022-09-21 07:42:41
コメントありがとうございます。
黒澤明の「七人の侍」の焼き直しですが、リメイク作品としてはよくできた作品だと思います。
パクリで撮られた「荒野の用心棒」よりはいいですよね。
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