おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

RONIN

2024-08-15 07:08:23 | 映画
「RONIN」 1998年 アメリカ
監督 ジョン・フランケンハイマー
出演 ロバート・デ・ニーロ ジャン・レノ ナターシャ・マケルホーン
   ステラン・スカルスガルド ショーン・ビーン スキップ・サダス
   ジョナサン・プライス ミシェル・ロンズデール

ストーリー
パリ。各国の諜報機関をリストラされた5人の元諜報員たちが、謎の雇い主によって、中身も不明なあるブリーフケースを盗み出すという任務のために集められた。
チームの顔触れは、戦略に通じたアメリカ人サム、フランス人コーディネーターのヴァンサン、東欧圏の電子工学の専門家グレゴー、アメリカ人の腕利きドライバーのラリー、武器の専門家スペンス。
謎めいた女ディエドラの指示の元、作戦は着々と進められたが、挑発的な態度をとっていたスペンスは経験の浅さをサムに見破られて追い放たれた。
風光明媚なニースで、標的の一団を白昼の町中で待ち受けて大胆なやり口で見事ケースの強奪に成功したチームだが、なんとここで裏切りが出てケースが持ち去られた。
ディエドラはひそかにシーマスという謎の男と接触を持った。
古いコロシアムで持ち去った男をサムたちはキャッチしたが、男は逃亡した。
そして現れたシーマスがラリーを射殺して、ディエドラと共に姿を消した。
ヴァンサンは腹を撃たれたサムをジャン=ピエールという情報屋の老人の邸宅にかくまった。
サムはヴァンサンに自ら指示を与えながら体内から弾丸を抜かせた。
老人はサムに日本のローニンの話を聞かせた。
傷が癒えたサムとヴァンサンはケースの行方を追って行動を再開。
ふたりはどうやらケースはナターシャ・キリロヴァというスケートの女王のパトロンのロシアマフィアの元に運ばれるとかぎつけた。
男はマフィアによって殺され、引き換えにスケートの女王もリンク上であえなく殺害され、ケースを手にしたマフィアは警備員に化けていたシーマスの手で倒された。
サムは出くわしたディエドラに自分は諜報員でずっとシーマスを追っていたと告げ、シーマスを追い詰める。
さしものシーマスも、サムとヴァンサンの手でついに果てた。


寸評
本作の見どころは間違いなくカーチェイスの激しさだろう。
作中には息もつかせぬカーチェイスシーンが、かなりのボリュームで盛り込まれている。
前半の襲撃シーンではニースの入り組んだ細い道を猛スピードで走り去るのだが、それはまるでカーレースを見ているようだ。
襲撃シーンではロバート・デ・ニーロの演じるサムがバズーカ砲までぶっ放して車を大破させてしまう。
さらに市街地での銃撃戦にも気合が入っていて、アクションシーンへの強いこだわりを感じる。
市民迄巻き込む銃撃戦だが、一般市民にまで死傷者が出ているのに警察の捜査網がそんなでないのは、カーアクションの相手を警察のパトカーにしていないからだろう。
この映画においては警察の出番があまりない。
後半のカーチェイスの迫力は倍加する。
道路を逆走する2台の車が数々の車をクラッシュさせながら、ひた走る。
このカーチェイスで一体何台の車がぶつかりあって大破したことだろう。
手に汗握るという表現ではおぼつかない迫力あるシーンとなっていて、ジョン・フランケンハイマーらしい。
特撮による不自然な動きを嫌い、全てのカーチェイスシーンは実写によるものというからスゴイ。

彼らが追いかけるのは銀のケースなのだが中身はわからない。
しかし、この中に入っているものはかなり重要なもので、すごい金になるシロモノらしい。
一体この中身は何なのか、どの時点で明らかになるのか興味が湧いてくるのだが、作品はそんなことはどうでもいいのだとばかりにアクションを重ねていく。
指示役のディエドラが彼らに何も説明しないので、登場人物の背景がよくわからない。
謎解きの面白さを内在することが出来たと思うが、よく分からないことでその面白さは喪失している。
その代表がケースの中身だったと思う。
登場人物の中では当然ながらロバート・デ・ニーロとジャン・レノの男臭い二人がたまらなく渋くてカッコいい。
この二人が目立ちすぎて、他の人物が色あせて見える。
ヒロインと言うべきディエドラのナターシャ・マケルホーンですらかすんで見えた。
最後に政治色が出てくるが、何かしら肩透かしをくった感覚も残る作品だ。
サムはディエドラを逃がすが、それはサムはディエドラを愛し始めていたという事なのだろう。
しかし、愛し合いながらも別れなければならない宿命といったものを感じさせはしなかった。

さてタイトルの「RONIN」だが、これは最初に示されるとおり日本の浪人からきている。
サムがかくまわれた老人から赤穂浪士の話を聞かされるのだが、タイトルとその話がこの物語にどう絡んでいるのかよく分からないでいる。
老人は侍のミニチュアを作って楽しんでいるが、単に日本文化を愛していただけなのだろうか。
あのジオラマは討ち入り場面を再現していたのかなと思ったけれど、最後に作られたのは鎧を着ていたから、やはり日本趣味のシロモノに過ぎなかったのだろう。
武士道を感じさせるエピソードもなかったし、日本とはまったく関係のないアクション映画だったと思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿