「ウィンチェスター銃'73」 1950年 アメリカ
監督 アンソニー・マン
出演 ジェームズ・スチュワート シェリー・ウィンタース
スティーヴン・マクナリー ダン・デュリエ チャールズ・ドレイク
ミラード・ミッチェル ジョン・マッキンタイア ウィル・ギア
ジェイ・C・フリッペン ロック・ハドソン トニー・カーティス
ストーリー
1876年の7月、リン・マカダムとハイ・スペードの2人はダッチ・ヘンリーを追ってワイアット・アープが保安官を務める町、カンサス州ドッジ・シティにやってくる。
酒場に入ったところ、その目当ての男と遭遇するが、拳銃をワイアットに預けているためにその場は治まった。
リンは独立記念日の射撃大会に出場し、最後にダッチに勝って賞品の名銃1873年製造のウィンチェスター銃を得て部屋に戻るが、そこにはダッチとその仲間たちが待ち構えていた。
ダッチたちはウィンチェスター銃を奪って逃走。
ダッチたちはアープに銃を預けていたために丸腰で、彼らは銃を手に入れるために銃商人とポーカーをし、ウィンチェスター銃を巻き上げられてしまう。
銃商人は名銃を手にしたものの、アメリカ原住民との取引がうまくいかず、銃を奪われた上で殺されてしまう。
アメリカ原住民たちは騎兵隊を見つけるとその周りを取り囲み、そこには旅の途中で彼らに襲われたローラとその婚約者のスティーヴも避難し、リンたちも襲撃を受けたためそこに逃げ込んできた。
翌朝になって原住民たちが攻撃をかけくるが、リンの奮闘もあって何とか撃退。
打ち捨てられていたウィンチェスター銃はスティーヴが手に入れることになった。
今度はスティーヴが知合いのワコ・キッドの撃ち合いに巻き込まれて死亡。
ローラはウィンチェスター銃とともに連れ去られ、行き着いた先はダッチの家だった。
ダッチたちはテスコサという町で強盗を働く計画を立てていた。
寸評
ウィンチェスターM1873は飛ぶように売れ、「西部を征服した銃」と呼ばれるライフル銃の歴史に残る大ヒット商品だったらしいのだが、ここではその中でも特別に出来の良い銃が持ち主を変えて転々としていくうちに、手にした人が非業の死を遂げていく話となっている。
ありそうな筋立てで、日本でも妖刀「村正」をめぐる話としてありそうなものだ。
「ウィンチェスター銃'73」はストーリーの引継ぎに無理がなく、楽しめる西部劇となっている。
リン・マカダムとハイ・スペードがドッジ・シティにやってくる。
ここでは僕たちになじみのある人物が登場してきてワクワクさせるものがある。
すなわち、保安官のワイアット・アープであり、弟のバージルである。
バット・マスターソンも登場する。
さすがにワイアットはそれなりの役割を担っているが、バージルやバット・マスターソンは顔見世程度にかかわらず、名前があるだけで何となく楽しくなってくる。
モノクロ作品なのでシルエット的に捕らえられる映像にも惹き付けられる。
町では独立記念日を祝って射撃大会が催され、優勝の景品がタイトルとなっているウィンチェスター銃である。
優勝争いはリン・マカダムと、彼が追っているらしいダッチの二人になる。
二人は甲乙つけがたい腕前で、銃の師匠が同じらしいことが語られる。
このことは大きな伏線となっていて、最後にリン・マカダムがダッチを追っている理由と、さらに大きな秘密が明かされることになる。
そのシーンになってはじめて、あそこで語られていたことはそう言うことだったのかと納得する。
ダッチたちはドッジ・シティから逃げる時に銃をアープに預けていたために銃も弾丸も持っていない。
そこで銃の売人の居る店に行ってポーカー勝負を挑む。
売人のラモントは大きな勝負は嫌だと言いながら、ダッチから持ち金をすべて巻き上げてしまう。
どう見てもイカサマをやっているように見えるのだが、その事は描かれていない。
ラモントは賭けに勝ってウィンチェスター銃'73を手に入れるが、先住民に殺され銃は先住民に渡ってしまうのだが、ここでもカスター将軍の名前が出てきて全滅したことが語られている。
インディアンの襲撃は西部劇の見せ場の一つで、この作品でも描かれているが、攻撃前に整列するインディアンのショットが壮観である。
ヒロインとしてローラという女性が登場するが、彼女の婚約者らしいスティーブは意気地のない男で、ローラの気持ちが離れつつあることを描いるのは、リンとの関係を考えると当然なのだが、意気地がない描き方はインディアンの襲撃を受けた時と合わせて上手い脚本だ。
しかしローラは席をはずせと言われてはいたが、銀行襲撃の話を聞いていなかったのだろうか。
酒場でピアノを弾いているが、酒場にいる人たちに銀行強盗のことをどうして知らせなかったのだろう。
本当に何も知らないでピアノを弾いていたのだろうか。
リンに左手に注意と警告しているが、ワコ・キッドの左手にどのような危険性があったのかよく分からなかったが、名銃をめぐる物語としてまとまっている西部劇の佳作といえる。