猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

謝りたいヒト

2005年06月26日 05時15分57秒 | ルーツ
もし今会えるなら、私を育ててくれるはずだった夫婦に謝りたいと、昨日のログで書いたが、私にはもう一人、謝りたい人がいる。
あれは、私が4歳の時のことだった...。
父は当時、Mちゃんという女性と浮気をしていた。

Mちゃんは髪が長くて、いつも綺麗にお化粧をした、優しい人だった。なぜ「優しい人」だと私が知っていたかというと、浅はかな父が「子供だから何もわからないだろう」と、たかをくくって、私をデートや彼女の家へ連れて行っていたからだ。
が、実際は誰の目にも浮気はバレバレ(笑)父は浮気を隠せないダメ男だった。
幼い私には、「浮気」が具体的にどんなことなのか、理解する力こそなかったが、なんとな~く「Mちゃんはお父さんにとって特別な人」くらいの認識はあり、私自身もMちゃんのことが大好きだった。

しかしある日のこと...
Mちゃんが私の家に乗り込んできた。父の子を妊娠してしまったことが、彼女を大胆にさせていたのかもしれない。
父は家に帰ってこなくなっていたし、父自身ももしかしたら、Mちゃんと結婚したいと考えていたかもしれず、しかし大人になった今、改めて考えてみても、Mちゃんのやったことは本当にスゴイと思う。半端な決心じゃ出来なかったろうから、父のことを、本当に愛していたのかもしれない。
私の母と向き合って座り、Mちゃんは母に
「ご主人を私に下さい」と言った。

そのとき私はその場にいたが、そのセリフ以外の、そこで話された詳しいやり取りについては、もう覚えていない。
ただ、Mちゃんが母に怒鳴られていたこと、Mちゃんが泣いていたこと、だけが鮮明に記憶に残っている。
そしてMちゃんは泣きながら、帰って行った。

私が謝りたいのは、そのMちゃんに対してで、なぜなら彼女が帰る際、大好きなMちゃんが泣いているのが不思議で、Mちゃんが帰ってしまうのが寂しくて、追いかけていってしまったから、である。

私はMちゃんをバス停まで追いかけ、
「Mちゃん、もう帰っちゃうの?またね~!バイバイ」と言った。
泣きながらバスに乗り込んだ彼女に、無邪気に手を振り続けた。
彼女の、愛する男性(アホ父)と別れなければならない辛さとか、自分の中に宿った命を摘んでしまわなければならない女の苦しみとか、何にもわからずに。

子供ゆえの無邪気さが、彼女に与えた苦痛を思ったら。
その時の彼女の気持ちを思ったら。
父が彼女にしたことを思ったら。母が彼女に浴びせた言葉のことを思ったら(もちろん母も可哀想だが)...

大人になって初めてわかった、Mちゃんの女性としての気持ち。
思い出すたびに「ごめんね、Mちゃん」と心の中でつぶやく、
今はすっかり大人になった私である...。

幸せになっているといいな、Mちゃん。

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6 コメント

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「謝りたい人」と言えるような人になるのが人としての道… (t-cat)
2005-06-26 13:28:56
えっと、横顔美人のこのお花、

パットオースティンでしょうか?

ERは正面も良いけれど横顔が綺麗ですよね。

我が家のバラは、今年はシュートを伸ばして欲しいのと、

昨年と比較すると問題にならないほどの虫の多さに

閉口しまして、二番花は全てあきらめることにしました。

また、この陽気ですからねえ…。

花木には過酷な環境のようです、

方法論として正しいかどうかはわかりませんが、

ぷちぷちと摘蕾しました。



人の思いも、植物のようにタフで、

摘んだら後に新しい芽が生えてくれれば

みんなもう少し楽に生きていけそうな気がするのですが、

歳を降る事に垂れる稲穂のように、様々な思いを受け止め

齢を重ねるのが人なのかもしれません。



人の気持ちに思いを致す、様々な心の機微に気づけることが

大切なのだと思います。

その時に立ち返って言葉を述べたい気持ちは、

きっと時が与えた賜、

erima様の心に咲いた大人の花なのではないでしょうか。

心の花を大切に育てたいですね。









…今、「花」と打ち込もうとしたところ「鼻」が出てしまい、

一人で受けてしまいました………

ハナ違いでおーちがいです。
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Unknown (yuimin)
2005-06-26 23:54:55
erimaさま、こんばんは。



写真の薔薇、とっても優しい色をしていますね。Mちゃんはこの淡くて優しい色をした薔薇のような女性だったのかなぁと思いながら拝見しました。



恋愛って、わたしはほとんど経験ないのですけど(夫とは親友?兄弟?みたいな感じですし、とても大切な人ではありますけど)、どうしようもないものなのかなぁとも思ったりします。erimaさまのお父様は、自分に素直なまっすぐな人だったんじゃないでしょうか。

大人になると、常識とか世間の目とか社会的立場とか、余計なものにしばられてしまって、心で生きずに頭で生きてしまうことがあるように思うんです。

たくさん恋愛を出来る人は、心で生きている素直な人なんじゃないかなって。



もちろん、一生この人と決めて、愛し続けるという生き方も素敵だし、愛の形って限りなく無数にあるのかなぁとも。



そのとき、そのときに、一生懸命に恋愛していることが大切なのかしら?



わたしには、まだまだ分からないことばかりですけど、世の中にはどうしようもならないことがあるということは、病気をしたりして感じています。













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Unknown (shiki)
2005-06-27 23:03:33
読んでいるだけでその場の状況が映画のように思い浮かぶ、

すてきな文章ですね。ぐいぐい引き込まれてしまいました。



きっとMさんはerimaさんの無邪気さに救われたのではないかと思いますよ。
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二番花ピーンチ! (erima)
2005-06-28 00:32:53
t-cat様



実はこの画像、パット・オースティンの1番花を

写したもので、だいぶ前のものになるんです。

ここのところ、blog用の写真貧乏に陥った私の

窮余の一策。

というか、この横顔がMちゃんのエピソードに

ぴったりに思えたものですから...。



2番花はといえば、現在アブラムシに取り囲まれ、

熱風による水切れの脅威にさらされ、細々と成長中。

持ち主の私と同じくらい図太くなってくれれば

手もかからずに良いのですが...

なかなかそうもいかないようです。



しかし...

薔薇が静かに冬の寒さを耐え、、

蓄えた力の放出を待ちわびているように、

人も心の冬を知って初めて、

その進む先を見つけるのかもしれません。

Mちゃんもそうやって、幸せを見つけ、

今は大いなる実りの季節を迎えていると、

そう、思いたいです。



大人になって思うのは、

「子供は大人が思うより、色んなことを解っている」

ということで、私があのときのMちゃんのことを

忘れないでいたのは、そういった、

「機微」の芽だったのかもしれません。

ただ、その割には私、

その芽を充分伸ばせていないような気がしますけれど(笑)



ちなみに私も、このコメントタイトルを打ち込む際

花が鼻になってしまい、t-cat様のコメント

最後の部分とあいまって、大爆笑!

ああ、大人の花を咲かせるまでにはほど遠い...







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見境のない男(笑) (erima)
2005-06-28 01:27:51
yuimin様



優しい、心のこもったコメントをありがとうございます。まったく、今頃天国で女遊びをしているであろう父に聞かせてやりたいです(笑)



確かに父は、欲望というものに対しては素直な人でしたが、性格は意地っ張り、そのくせ弱虫、泣き虫、甘えん坊、と、矛盾の塊でした。女性関係に関しては、本人曰く「女が迫ってくるんだから仕方ない」そうでしたが、実際はもう、母の友人から、同僚から、見境なしに手を出す無節操ぶり。気持ちに正直に生きているというよりは感情的に生きている、本当に「しょーのないヤツ」でした。



しかし、彼の中にある子供のような部分が愛すべきものであったのも事実。たくさんいた、父の浮気相手が彼のそんな部分に惹かれたのである(と思われる)と同様、私も父のそんな部分は素敵だったと思います。まっ、彼の場合、そのルックスが大いにモノを言ったのでしょうけど。



何より、子供に親を選ぶことなど出来ないのですし、色々なつらい目に遭わされたのと同じくらい、よい事もたくさん教えてくれた父。今頃あちらの世界で伸び伸びやっていてくれることを願います。



それに...yuimin様。

私も一応は「激しい恋」なんかもしましたけど、やはり「親友のような、兄弟のような関係」を築けるお相手を見つけることが、女性として、いえ、人間としての幸せかと思いますよ。実際、ゴンザも私にとってはそういう相手ですし、恋はいわば錯覚みたいなものですから...。



共に、ゆっくり、穏やかに、歩いていきたいですね。
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時が過ぎれば、修羅場もロマンス (erima)
2005-06-28 01:44:58
shiki様



こんばんは。

ともすればドロドロになりがちな話を、皆様の不快にならないよう書けていたようでホッとしています。



Mちゃんの心の中でも父との思い出が、そんな風になっているといいのですけど。

時間が流れていくごとに色褪せるストーリーではなく、時間の経過と共に、味わいを深める物語のように...。



私もshiki様の言葉に救っていただきました。
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