ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

非正規労働者の悲哀

2018-02-22 13:29:12 | 日記
次の記事を読んで、少なからず衝撃をうけた。

就職氷河期世代に限らずとも、非正規雇用者の声は切実だ。(中略)将来の展
望となると、特に悲観的な声が多い。
「いつ切られるかの不安しかない」(多数)に加え、「年金はもらえないと思
う」(46歳・男性ほか多数)、「定年前に死ぬしかないかな」(48歳・男性・
パート・アルバイト)、「長生きはしたくない。安楽死が法整備されることを
望む」(33歳・男性・パート・アルバイト)。
 (AERA 2月21日配信《「定年前に死ぬしかない」「安楽死が法整備される
  こと望む」将来を悲観する非正社員》)

目下、(政府が今国会に提出を予定する)「働き方改革関連法案」に関して、
衆院予算委員会で丁々発止の議論が戦わされている。「裁量労働制で働く人は、
一般労働者より労働時間が短いとの調査もある」(安倍首相)とか、「いや、
この調査はまやかしだ、インチキだ、捏造だ」(野党)とか、議論は同じ論点
をめぐって空回りし、いっこうに進展を見せない。相変わらずの(馴れ合いの
ような)与野党攻防劇を見せられ、国民はもううんざりだが、この攻防劇をテ
レビで見ている観客の大半が、リタイアしてヒマをもてあました高齢者だとい
う笑えない現実がある。

どういうことか。つまり、国会での議論の対象は、あくまでも正規労働者であ
り、この議論のゆくえを見守る観客も、正規労働者として定年までキャリアを
勤め上げ、金銭的になんの不自由もない「正規リタイア組」だということが、
悲しくなるほどほほえましいということである。日本の社会には、これ以外に
もたくさんの非正規労働者があふれ、彼らはほとんどが「定年前に死ぬしかな
い」、「安楽死が法整備されること望む」といった具合に、将来を悲観してい
るというのに、彼らをどう救済するかといった視点が、国会での議論にはすっ
かり欠け落ちているのである。

彼ら非正規労働者は、労働組合に加入していない未組織労働者だから、政党の
目配りの対象にならないという事情があるのかも知れない。だが、それで良い
のだろうか。国民の「働き方」をまじめに考えようとするのであれば、非正規
組も含めて、労働者全般の「働き方」について議論すべきではないだろうか。

正直に言うなら、非正規労働者がかくも深刻な将来展望を持たざるを得ないこ
とを、寡聞にして私は知らなかった。そういう非正規労働者が世の中にたくさ
んいることを、恥ずかしながら私は知らなかった。リタイアした高齢者は、ほ
とんどの人が経済的な不安にさいなまれることなく、ただただヒマをもてあま
しながら(抜け殻のように)余生を過ごしているのだと思っていた。自分の不
明を恥じるばかりである。
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